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探偵社へ戻り、改めて合格の報告。先刻と同じように社員にひたすら頭を下げる
医務室にて面識のある与謝野女医にも報告
──だけでは終わらなかった
「新人、アンタ早速怪我してるじゃないか?」
女医が満身創痍なAを見て妖しい笑みを浮かべた
「いえ別に其程では」
「確かにそこそこ重症だし、治療して貰えば?」
危険を察知して断ろうとするAの言葉を遮って太宰が云う
怪我はしてるし痛いは痛いが……他人事だと思って!
結局逃げ切れずに治療を受けることになった
二回解体された
……
初めに此処では怪我をしないと自分の心に誓ったのだが……まあ冗談半分ではあったし
この業界で怪我をしない、なんて所詮無理な話なのだ
Aの挨拶が一通り終わると、国木田が社を出ていった
「……何処に行くんですかね?」
ふとAが云うと、太宰が珍しく神妙な表情で答えた
「多分、お墓参りだね。今回の被害者の」
そうか
誘拐され、助けられなかった人々のお墓参り──
そうやって何時も被害者に祈祷を捧げてきたのだろうか
あの廃病院の一室で、目の前で亡くなった人々を思う
──私も救いたくて、でも救えなかった命のことを忘れられないだろう
いや、忘れてはならないのだ。この仕事をするからにはそういう十字架を背負う覚悟も必要だということだ
「──さて、では私も少し出てくるよ」
椅子が軋む音で我にかえる
太宰が席から立ち上がり、手を振りながら扉から外へ出ていった
それを見送った後、知っている二人が居なくなったことに気が付いた
……こうして何もしてないのも少し居心地が悪いな
事務員さんに乞うて簡単な書類仕事を貰い、手近な椅子に座って目を通す
暫くそうしていたが、一段落つくと違うことに思いを馳せてしまう
──矢張り、今回の事件に
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桜(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります! (2019年3月8日 11時) (レス) id: 6a81806e14 (このIDを非表示/違反報告)
夜(プロフ) - すごく面白いです!更新待ってます! (2019年3月7日 14時) (レス) id: d88528ecc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜 | 作成日時:2018年5月25日 21時