story33 ページ34
「で、これからどうしましょう?」
Aは床に倒れている大男を眺めながら問う
「解除鍵はこの人が持ってるんでしょうか?」
「いや、多分『頭領』と呼ばれる奴が持っているのだろうね」
太宰が思案しながら答えた
確かにこのどこからどう見ても肉体派の者に鍵を持たせるとは考えにくい
「じゃあ私探してきます!」
下かな、と呟きながら部屋を飛び出していく。階段を勢いよく降りていく音が聞こえる
「さて、と」
太宰はそんなAの様子を確認すると、解除鍵以外の方法を模索し始める
*****
二階にはあの部屋しかない。ならば鍵を持つ奴は下に居る筈だ
二階は大きな窓の外から射し込む夕陽で真っ赤に染まっていた。刻限まであと少し。嫌でも焦る気持ちを押さえて冷静でいようと努める
「国木田さ──」
言葉を続けようとしたAの耳に飛び込んできたのは、銃声だった
一発ではなく、何発も──
慌てて覗きこんだAの目に映ったのは金髪痩躯の青年が国木田に向かって銃を構えている姿だった
「国木田さんっ!」
Aは叫んで飛び出していく。もし撃たれていたら止血、否、直ぐに与謝野女医のところへ──
「厭だなあ。大事な数字なのに、銃なんか使うわけないじゃないか。厭だなあ」
弾の切れた銃を弄んでいた青年が云う
取り敢えず一発も当たってはいないようだ。見れば手前の地面に着弾した痕がある。大きく息を吐く
「次は、君が数字をくれるの?」
安心したのもつかの間、足下に幾何学模様が浮かび上がる
悪寒。何かが皮膚の中で這い回っているような気持ち悪さを感じた
「数字は毀傷を受ける度に減るよ。時間経過でも減るよ。そして、ゼロに成れば──」
真逆──
服の袖を捲ると、其処に数字が浮かび上がっていた。見ると国木田にも在る
Aは39、そして国木田は32
「お前が……運転手を殺した異能者か」
国木田が青年を睨みつけながら憎々しげに吐き捨てた
「それ知ってる、探偵だ、探偵が云う奴だよねそれ」
完全に此方をなめたように笑う青年を見てAは確信する
──こいつが、敵の頭領だ
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桜(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります! (2019年3月8日 11時) (レス) id: 6a81806e14 (このIDを非表示/違反報告)
夜(プロフ) - すごく面白いです!更新待ってます! (2019年3月7日 14時) (レス) id: d88528ecc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜 | 作成日時:2018年5月25日 21時