story26 ページ27
国木田が書類を卓上に並べていく
「最新情報だ。誘拐犯の運転手を、軍警が聴取した際の供述記録が届いた」
それを見ると運転手は誘拐、逃走防止用の瓦斯の設置は認めたが、監視装置に覚えはないそうだ
「犯人は少なくとも二人居るって訳だね。誘拐した奴と、撮影した奴」
「前者が運転手、後者が──≪蒼の使徒≫?」
「恐らくな」
国木田が頷く
「あのうこのような話、部外者の私が聞いても宜しいのでしょうか?」
佐々城女史が恐る恐る声を上げる
「佐々城さんは被害者だし、問題ないよ」
太宰がにこやかに云う
ほんとかなぁ……駄目じゃないかなぁ……
知らぬ存ぜぬ
「そういえば佐々城さんの大学での専攻って」
「社会心理学です」
「それはいい。この事件に関する佐々城さんの意見を是非とも聞かせておくれよ」
太宰が云う
「私が意見など大変烏滸がましいですが……」
そう前置きして話す佐々城さんの話は興味深いものだった
≪蒼色旗の反乱者≫事件
その犯人≪蒼王≫
彼は死を偽装し今も何処かで隠伏している──
「……なかなか思い切った意見ですね」
「だが、犯人が蒼王だとすれば、何故探偵社の信用失墜を此程執拗に狙うのか不明だ」
「恨まれているのは君じゃないの、国木田君?」
思わず太宰の顔を見る
怨恨から死人の淵より甦り──
……怪談になってきた。やめた
太宰と国木田は隣でぎゃあぎゃあと騒いでいた
佐々城女史に好みの傾向を聞いたりしている
お店に迷惑じゃないのかな、これ
迷惑だろうな。確実に佐々城さんにとっては
「まあ、取り敢えず話を戻しましょう」
落ち着いてください
国木田を座らせれば一旦静かにはなった
「そうそう佐々城さんの安全の話だった。まあ国木田君の家なら安全だ。彼は理想に生きる高徳の人だから」
というか度胸ないだろうし
「彼の手帳見る?国木田君の理想の女性像、凄いよ」
太宰が佐々城女史に手帳を手渡す
あーあ……
「太宰!お前何時の間に掏った!?」
しーらない……
「興味あるでしょ」
「ええ……まあその、偽らず申しますと、少し気にはなりますが」
照れ笑いと共に文字を目で追う女史の顔から色が消えていく
そして
「国木田様」
そこに在るのは極低温の微笑
「これはないです」
机に突っ伏す国木田
水をそっと差し出すA
御愁傷様です
心の中で手を合わせた時、国木田の携帯に一本の電話
それは現状を打開する、名探偵からの──
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桜(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります! (2019年3月8日 11時) (レス) id: 6a81806e14 (このIDを非表示/違反報告)
夜(プロフ) - すごく面白いです!更新待ってます! (2019年3月7日 14時) (レス) id: d88528ecc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜 | 作成日時:2018年5月25日 21時