検索窓
今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:3,012 hit

story26 ページ27

国木田が書類を卓上に並べていく

「最新情報だ。誘拐犯の運転手を、軍警が聴取した際の供述記録が届いた」

それを見ると運転手は誘拐、逃走防止用の瓦斯の設置は認めたが、監視装置に覚えはないそうだ

「犯人は少なくとも二人居るって訳だね。誘拐した奴と、撮影した奴」

「前者が運転手、後者が──≪蒼の使徒≫?」

「恐らくな」

国木田が頷く

「あのうこのような話、部外者の私が聞いても宜しいのでしょうか?」

佐々城女史が恐る恐る声を上げる

「佐々城さんは被害者だし、問題ないよ」

太宰がにこやかに云う

ほんとかなぁ……駄目じゃないかなぁ……

知らぬ存ぜぬ

「そういえば佐々城さんの大学での専攻って」

「社会心理学です」

「それはいい。この事件に関する佐々城さんの意見を是非とも聞かせておくれよ」

太宰が云う

「私が意見など大変烏滸がましいですが……」

そう前置きして話す佐々城さんの話は興味深いものだった

≪蒼色旗の反乱者≫事件

その犯人≪蒼王≫

彼は死を偽装し今も何処かで隠伏している──

「……なかなか思い切った意見ですね」

「だが、犯人が蒼王だとすれば、何故探偵社の信用失墜を此程執拗に狙うのか不明だ」

「恨まれているのは君じゃないの、国木田君?」

思わず太宰の顔を見る

怨恨から死人の淵より甦り──

……怪談になってきた。やめた

太宰と国木田は隣でぎゃあぎゃあと騒いでいた

佐々城女史に好みの傾向を聞いたりしている

お店に迷惑じゃないのかな、これ

迷惑だろうな。確実に佐々城さんにとっては

「まあ、取り敢えず話を戻しましょう」

落ち着いてください

国木田を座らせれば一旦静かにはなった

「そうそう佐々城さんの安全の話だった。まあ国木田君の家なら安全だ。彼は理想に生きる高徳の人だから」

というか度胸ないだろうし

「彼の手帳見る?国木田君の理想の女性像、凄いよ」

太宰が佐々城女史に手帳を手渡す

あーあ……

「太宰!お前何時の間に掏った!?」

しーらない……

「興味あるでしょ」

「ええ……まあその、偽らず申しますと、少し気にはなりますが」

照れ笑いと共に文字を目で追う女史の顔から色が消えていく

そして

「国木田様」

そこに在るのは極低温の微笑

「これはないです」

机に突っ伏す国木田

水をそっと差し出すA

御愁傷様です

心の中で手を合わせた時、国木田の携帯に一本の電話

それは現状を打開する、名探偵からの──

story27→←story25



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 7.8/10 (4 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
4人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります! (2019年3月8日 11時) (レス) id: 6a81806e14 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すごく面白いです!更新待ってます! (2019年3月7日 14時) (レス) id: d88528ecc4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2018年5月25日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。