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story16 ページ17

念の為、市警に一報を入れた後、佐々城女史の案内で霊安室へ向かった

確かに此処なら人を閉じ込めるのに最適だ

遺体は貴重なので、扉は頑丈で鍵も掛けられる

国木田が罠の無いことを確認して、掛金を破壊して室に駆け込んだ

太宰とAも佐々城女史を警護し乍ら後に続く

霊安室は十米位の奥行きがあり、ひどく暗い

そして中はがらんと空虚で、何も無い


……いや、


居る


国木田が持つ電灯の光に反応して奥で何かが動く

そちらに白光を投げる

「た……助けて呉れ……」

壁際の鉄檻に纏めて四人

全員、簡素な下着姿だった


善かった

まだ、

生きていた──


「ここは、何処?」

「先刻女の叫声が……どうなって居るんだ」

どうやら被害者達は自分の置かれている状況が判っていないらしかった

「落ち着け。俺達は救助だ。叫声の女性も救助した。怪我人は居るか?」

「い──否、だが、ここは何処なんだ?何故我々はこんな場所に」

Aは近づいて状況を確認

檻は──

うん、壊せなさそうだね

檻の入り口と逆側の壁には金網檻が打ち付けられていた

いや、これ猛獣運ぶときのじゃん

檻自体も壊せなさそうだし

犯人しっかり閉じ込めすぎだろ


「ふうん。電子端末式の錠前だね」

太宰が檻の錠前に近づいて確かめる

「暗号ですかね?」

「それか生体認証か、合言葉か……『開け胡麻』!『稲光と雷鳴』!『恥の多い生涯を送っております』!」

……

「うーん、駄目か。壊すしかないね」

……何だ最後の

「壊すには多分、この辺を、こう──」

太宰が端末に触れようとする

その途端──

「駄目です、その錠前に触れては不可ません!」



太宰もその叫びに驚いて振り返る

端末に赤い灯が点った

上階で何かの金属が落ちる音。何かが開く音

檻の中に乳白色の煙が撒き散らされる

「なっ」

眼と喉に激痛がはしる

これは──

「毒瓦斯だっ!」

国木田が檻に手を掛ける

「近付いては駄目です、もう手遅れです!」

そんな国木田の腕を佐々木女史が引っ張る
「国木田君!疾く!」後方で、太宰の声がする

少し吸ってしまった。目の前が滲む

助けたい、のに

ああ、初めての仕事がこうだなんて

散々だな──



──室に居た四人は、全員死んだ

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(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります! (2019年3月8日 11時) (レス) id: 6a81806e14 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すごく面白いです!更新待ってます! (2019年3月7日 14時) (レス) id: d88528ecc4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年5月25日 21時

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