Alright_002 ページ13
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「あ、え、藤ヶ谷しゃん？！」
まさか隣人だとは思いもよらなくて狼狽えたオレは、ハッと我に返って手にしていたビニール傘を彼らの上に差しかける。
普段はこれくらいの雨量じゃ持たないことも多いけれど、今日は担当さんに無理やり持たされたんだった。
資料濡らさないようにして下さい！ なんて困ったように言われたら駅からの道中もささないわけにはいかなかったけれど、うん、これで資料が濡れてしまうのは仕方ない。
正直資料なんかより二人がこれ以上濡れないことのが大事だ。
「おじさん、だぁれ？」
オレを見詰めたまま何も言わない藤ヶ谷さんの向こうから顔を出していたチビが控え目な声で聞いてくる。
「え、えと…隣に住んでる横尾です」
「よこー」
「藤ヶ谷さん、具合悪いとかないですか？ 早く帰って身体あっためないと…」
「だめだよ、たいちゃんずーっとこうだもん。なんかいもかえろっていったのに…」
チビは相変わらず小さな声で言う。
ずっと？
っていうか、たいちゃん？
「オレよりたいちゃんのがよわっちゃってんの、おもしろいよね」
寂しそうに、でもちょっと楽しそうに口元押さえてくふふと笑うチビに、何で弱っちゃってるのが面白いのか全く分からず返事も出来ない。
分かるのは、このままでは藤ヶ谷さんもチビも風邪をひいてしまうし、資料も濡れて担当に泣かれて面倒くさいってことだ。
「藤ヶ谷さん！」
「…横尾、さん」
「あ、しゃべった」
「大丈夫ですか？ 動けます？」
「横尾さんだ…」
小さく呟いた彼の目がわずかに揺れる。
ここまで近付けば、寿命が来てしまいそうなくらい弱い外灯の光でも表情が分かる。
その目に、雨とは違う水分がたっぷりと溢れることも。
「横尾さん…！」
「うわぁ！」
思いっきり抱き着かれて悲鳴が上がったことも、咄嗟に思い切り額を押し返して首筋を痛めさせてしまったことも、どうか許して欲しい。
そこから何がどうなって話がころころと転がるように展開して行ったのか。
まさに事実は小説より奇なり、なわけだ。
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続きたい。
たぶん続かない…。
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うみ(プロフ) - 海樹さん» ありがとうございます〜(；▽；)お友達に双子ちゃんがいるんですが、本当にそういうことあるみたいですね (2016年1月3日 23時) (
レス) id: 839ef616ac (このIDを非表示/違反報告)
海樹(プロフ) - 以心伝心する双子可愛いです♪o((*^▽^*))o (2016年1月3日 19時) (レス) id: 8dd0998254 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うみ | 作成日時：2016年1月3日 18時
