前世は姫今世はな組のお手伝いさん【紫】

39　嬉しい言葉 ページ39

ななもりside



食事をするからすみれ子さんを呼んでくるように言われた。



家は割と広いから迷子になっててもおかしくないなと思った。



と、すみれ子さんの声が聞こえた。



声をかけようとすると




＿＿＿Aの姿が見えた。




会っても冷たい言葉しかかけられないから、すっと影に隠れた。




『私はこれで失礼します……。』




Aが走って行くのを見届けた後




ななもり「あ、すみれ子さん。ここにいたんですね。」




偶然を装い声をかける。




すみれ子「はい。今、綺麗な女の子がいたんです。あ、名前を聞き忘れました。」





綺麗な女の子……か。





更にすみれ子さんからは誰か知ってますか、と聞かれた。




ななもり「うちには綺麗な女の子のお手伝いさんはいっぱいいますから、どの子かわかりませんね。」




冗談っぽく笑って見せた。




すみれ子「ふふっ面白い方ですね。



……私、不安だったんです。あったこともない人と結婚を約束しないといけないなんて怖くて。





相手がななもりさんで良かったです。」




そう言って上品に笑った。




嬉しい言葉のはずなのに……















……心のどこかでAだったらと思ってしまった。

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