前世は姫今世はな組のお手伝いさん【紫】

26　誕生日 ページ26

Aside




私、なんかしちゃったかな……。



ななもり様の冷たい顔初めて見た。




そう考えながら邸宅に向かう。



長時間話していたわけでもないのに怒られたわけがよくわからなかった。



青空を見つめて考えていると




「Aセンパーイ！」




と私を呼ぶ聞き覚えのある声がきこえた。




『あ、有紗。もう行ったと思ってた。』




有紗「そんなことより！先輩って来週誕生日なんですか？」




あれ、無視？


というか唐突だなぁ。




『うん、来週で18歳かな？たぶん。』




一応私は高3だから、と付け足す。




有紗「なんで教えてくれなかったんですかー？……もっと前から教えくれれば余裕持って準備できたのに……。」




後半小声で呟いた。




『なんでって、誕生日なんて頭の隅にもなかったからだよ。』




両親は仕事が忙しくて誕生日でも普段と変わらずラップをかけたご飯をおいているだけだった。



寂しくないの？とよく聞かれるけど、これが当たり前だと思って生きてきた私は何も思わなかった。



寂しいと言ったら我儘と言われるから。



というように、いい思い出の無い私の誕生日は、私にとって普通の日。



だから忘れていたって何の害も無い。




それに、その日を平和に過ごせればいいかな……。




そう考えていたことが後に変わるなんてこの時は思ってもみなかった。

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