144 ページ44
.
「資格未取得者が保護管理者の指示なく“個性”で危害を加えたこと。たとえ相手がヒーロー殺しであろうともこれは立派な規則違反だワン」
エンデヴァーに指示され向かった私を除いたとしても緑谷たちやプロヒーロー三名には厳正な処分が下されなければならない。そう告げた署長に轟焦凍は立ち上がる。
「規則守って見殺しにするべきだったって！？」
『ちょっと落ち着け、』
「結果オーライであれば規則などウヤムヤで良いと？」
署長の言うことがもっともなのはわかる。だけど私も轟焦凍と同じ気持ち、納得はできてなかった。だけど止めなきゃいけない。私たちはまだヒーローじゃない。
「だから君は卵だ。まったく、良い教育をしてるワンね。雄英も、エンデヴァーも」
その言葉にはカチンとくる。轟焦凍が怒って「この犬、」と詰め寄るも今度は私は止めなかった。
「以上が警察としての意見。で処分云々はあくまで公表すればの話だワン」
くるっと雰囲気を変えて署長は続ける。公表しない場合はヒーロー殺しの火傷跡などからエンデヴァーを功労者として擁立してしまえるらしい。そうすれば私たちは処分を受けない。
「だが君たちの英断と功績も誰も知られることはない。どっちがいい？一人の人間としては前途ある若者の偉大なる過ちにケチをつけたくないんだワン」
グッジョブをしてそう聞いてくるおちゃめな署長にはぁ、とため息をついた。
「ともに平和を守る人間として、ありがとう！」
署長は九十度腰をまげ、私たちに綺麗な礼をした。
そういうことならはやく言って欲しかったしそれなら轟焦凍に対して良い教育をしている、なぁんて嫌味言わなくてもよくないか？まあ警察としてはそれが正しいのだろう。
かくして、この騒動は誰にも知られぬままエンデヴァーを功労者として幕を閉じるのであった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
