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「大丈夫か？腕、すまねえ」
轟焦凍が私にそう声をかけた。そういえば轟焦凍をかばった時に刺さったナイフはいまだ腕に刺さりっぱなしだ。
いまはアドレナリンかなんかなのかそんなに痛みは感じないが痛いもんは痛い。はやく抜きたい。
『平気。アンタの方がひどい怪我だ。緑谷も、飯田くんも』
「駆けつけてくれてありがとう、Aさん」
緑谷のその笑顔に、なんだか一気に安心した。
「おい、蓮水…？」
『あ、これやばい………』
「おいｯ！」
全身ヒリヒリする。目眩も頭痛も、これは脱水症状だ。個性の使いすぎ。おそらく体温も上がっている。
確かに無茶な戦い方をした。水神を声も聞こえないまま何度も喚んだし、腕にナイフ刺さっちゃってるし、
『ご、めん。脱水だと思う。立てない』
力が入らず、轟焦凍に寄りかかる。とにかく全身が痛かった。
「……とりあえずヒーロー殺しを拘束する。飯田、蓮水を頼んだ」
「わかった」
「すまない、」と私と目線を合わせて謝罪する飯田くん。おそらく飯田くんが交戦していたところに緑谷、そして轟焦凍が加わった形なのだろう。一人だけ特にボロボロだ。
『委員長が無事で、なにより』
「………ありがとう」
私も身内にヒーローがいる身だ。大切な憧れの兄をヒーロー殺しに殺されかけたのなら、怒りで判断が鈍るのもわかる。USJでの私もそうだった。
『お兄さんに、がんばってるって報告しなよ』
「そうだな、それはもう少し先になるだろうけどそう伝えられるようにも努力する」
戦闘中の苦しそうな顔からいっぺん、どこか哀愁漂わせながら力なく飯田くんはそう言った。
かけたい言葉はあれど、これ以上は野暮だろう。それに、もう体力が持ちそうにない。
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