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「お母さん！？わ、わかったってAさんの人生を振り回す気なの！？」
「守、Aさんも少し話を聞いてくれませんか？」
叶さんは、まっすぐ私たちを見つめた。そしてゆっくり頭を下げ始める。
「私、私は娘たちのことしか考えてない大馬鹿者かもしれません」
泣きそうな声、それでもしっかりと聞こえた。
「あなたを巻き込んでしまうこと、本当に申し訳なく思っています。それでも、それでも娘たちの未来を守りたい。あなたを、犠牲にしてでも、自分を犠牲にしてでも……」
顔を上げた叶さんの瞳からは絶え間なく雫が流れていた。伝えなきゃ、この人に、伝えなきゃ……、
『犠牲だなんて、言わないでください。幸せな未来への対価。保証。私はあなたにも幸せになってもらいたい。じゃないと守も幸せじゃないから』
「Aさん、お母さん………でも、でも私は…」
叶さんの涙に動揺したのか、守は何かを言い淀んでいた。これは、守を助けるため。守の未来のため。だから、守を蔑ろにしちゃいけない。
『守、守にも許して欲しい。私のわがまま、私の提案を』
「………私は私が個性婚することで、向が、妹が助かるならそれでいい」
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