プロデューサーも楽じゃない (ページ4)

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いつかの話ページ4

「そういえば茨、次のライブはP機関のプロデューサーがつくって聞いたけど？」
「おや、耳が早いですね。ちょうどいいので全体に伝えておきます。殿下の仰った通り、明日の打ち合わせからはP機関の新人が加わります。」
「新人って、例の？」
「ええ。噂の彼女ですよ、ジュン。」

噂？と首を傾げる凪砂のために、茨は打ち合わせの連絡を返す手を止めて説明する。

「数ヶ月前P機関に入った新人です。某有名国立大学卒業後、国内でも有数の大手企業に就職。入社後数ヶ月で退職し、全く畑違いのESに就職。P機関でも有能だと話題になっているようですね。」
「ふぅん。なんでその子、ESに来たの？」
「さあ？自分も又聞きの情報と履歴書程度の知識しかないもので。ただ、前の職場を辞めた理由は分かりますよ。入社後数ヶ月でパワハラと横領の証拠を揃えて上層部を吊るしあげたとか。」

それは流石に初耳だったのか、茨の正面に腰掛けたジュンが顔を引き攣らせる。

「うわぁ…我の強そうな人っすねぇ。」
「……その子は正しいことをしたんだね。」
「ええ、世間一般から見ればそうでしょうね。結果として上層部に睨まれ、自己都合退職とかいう割に合わない結果になったわけですが。」
「どんな子が来るのか、楽しみだねっ」

新しいプロデューサーの話に、ESでも名の知れたアイドルである彼らはうきうきと鼻歌を歌ったり、戦々恐々としたりとそれぞれの反応を見せる。

「まあ、どんな子がきてもライブは成功させるけどね！」

一時は主に一名によって動揺の走った楽屋だが、いつも通りの日和の一声にそれもそうだと彼らは徐々に各々の作業へと戻って行った。

彼女の話題はそれで流れたが、茨はデータを確認しながら内心独りごちた。