プロデューサーも楽じゃない (ページ3)

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転生ページ3

私には、彼らと共に戦い死んだ記憶がある。

厨二病だと指をさされても何も言えない。彼らの姿をテレビで見るまで、私自身変な夢でも見たのだと思っていたくらいなのだ。
彼らが時折出す知人の名前や呪術界の用語に、夢などではなかったのだと確信を得たのだけど。

所謂前世、私は呪術師なんて奇妙な仕事をしていた。呪術高専なんて今考えれば笑える名前の機関に所属して、人の負の感情から生まれる呪霊を祓い、金を稼いでいた。

私は五条と夏油、それから家入と同級生だった。同期と普通の高校生みたいに馬鹿騒ぎしながら呪霊を祓い、遊んで寝て、訓練を積んで。

ある日五条が最強になって夏油が呪術界を裏切って、まあなんやかんやあって30手前、私も呪霊に敗れて死んだ。

そしてこの世界に生まれ変わった訳だが、様子を見るに彼らも前世の記憶があるらしい。
もしやと思い調べてみれば同期の家入は医師として働いていたし、後輩だった七海と灰原は俳優、五条がたまに名前を出す伊地知はマネージャーで、他にも高専時代の担任やら生徒やらがこの世界に生きていることがわかった。しかも軒並み芸能界に名前がある。

私は芸能人なんて柄ではないので彼らには習わず普通の大学に進学し、一般の企業に入社。そこでまあ色々あって、会社を一年も経たずに辞めた。
そして転職に迷っていた時、知人の勧めで訪れたライブでアイドルと出会い、いっそ裏方の仕事もいいのかも、同期もいるし、と今の職場に就職を決めたわけである。

なお、入社して数ヶ月経つが現場にはあまり関わりがなく、同期の気配すらも感じたことは無い。

「プロデューサーねぇ…私に務まるか」

入社してから、業界の知識は必死で詰め込んだ。顧客のニーズや現場の意見、先輩方の武勇伝などもできるだけ頭に入れてはいるが、実践で使えるかと言われると微妙なところだ。

「Edenは七種さんがプロデュースしてるんだっけか。既に方向性は決まってるから初心者向け、登竜門ってとこかな」

それなら多少は気も楽だ。テストの様で気分は良くは無いが。

ひな壇のベテラン芸人の無茶振りに振り回される元同期を見ながら、私も乾杯でもするようにビールを呑みきった。