限界オタクの隣人事情 [斉藤壮馬]

26　これが？ ページ26

本日私はまたもや由亜の家に入り浸っていた。


ま、それも由亜に呼び出されたからなんだけど。


由「ねえAさ」


『んー？』


由「壮馬さんのことなんだけど」


『うん』


コップを手に取り、
中に入ったアイスティーを飲む。


由「恋はしてないの？」


『ｹﾞｯﾎ!!!!!!!!!!!!』


むせた。


それはもうもう盛大にむせた。


『…は？』


由「いや、そこまで深い意味じゃないんだけどさ。やっぱり元々推しだったわけだし、好きになっても無理はないんじゃないかなと思って」


『うん…？』


由「A的には、恋愛感情とかないの？」


『ん〜…ないつもりではある、けど…』


由「てかAって恋したことある？」


『ない』


由「マジか。んじゃ、あれは？
連絡きてないか確認しちゃうとか、相手の異性についての話し聞いてるとむず痒いとか、二人で出かけるの超楽しみになったり。ないの？」


妙に例が多いな。


『まあ、それなりにはある。
なんか壮馬とスーパー行ったんだけど』


由「何しに？」


『材料買いに。でその時に壮馬に彼女いないの？とか流れで聞いたら、"いいなって思う人はいる"って言われて。あの時はちょっともやもやしたけど…』


由「あッッッますぎるだろなんだそれ」


『まだ恋じゃない』


由「私は恋でもおかしくないと思うけどね〜」


『でも恋だって思ったら、今まで通り過ごせなくなっちゃう。気になって』


由「…まんまコイスルオトメの発言じゃん」


『うるせえですわよ』


由「申し訳ないなんて
思ってなくもなくもないんだからね」


マジでなんなんだ…。


…壮馬と二人でいたいとか、
出かけたいとか、会いたいとか。


この名前の付けがたい感情の名前は、
恋なんだろうか。

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