限界オタクの隣人事情 [斉藤壮馬]

13　夢みたい -sideS- ページ13

起きた。起きたけどこれは一体どういうこと？


机の上には開いたお酒の缶とお皿。
ソファではAがすやすやと寝ている。


いや、俺も今日は珍しく休みで、Aも明日休みだから〜って言ってたからいいんだけど。


仮にも男の部屋で無防備に睡眠をとるというのは
年頃の女の子としてどうなのか…。


こんな姿を見せられてしまっては、心を許してもらえてるんじゃないかと勘違いをしてしまう。


抑えられない衝動から、
恐る恐るAの髪に触れる。


うわ、さらさらだ。


そのまましばらく触り続けていると、
ゆっくりとAが動き出した。


『ぁぶ…』


赤ちゃんなの？w


かわいいなほんとに。


最近Aとよく会っていて、一番思っていることを挙げるとすれば、それは彼女がすごく魅力的だということ。


話している時の笑顔も、缶にふにゃりとつけた唇も、こちらを見つめるぱっちりとした瞳も、俺の横を歩く少し低い身長も。


彼女の全てが魅力的で、
なんだか愛おしさまで感じてしまう。


まだ職業も血液型も明かしていない俺でも、
気にせず話してくれるからだろうか。


いや、きっとそれ以上に俺がAと一緒にいる時間を楽しんでいるからなんだろうな。


これはまだ恋ではなくて、
これから先恋に発展するかと聞かれれば
俺にもまだわからないと答えるしかできない。


ただ一つ確実に言えることは、今の俺はAの魅力にやられっぱなしだということ。


そしてそれが、最近の俺の心を
揺らし続けているということ。


きっとAは、
そんなの気づいてないんだろうなあ。

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