53話 ページ15
布団に寝転がっていると、下から母上の声がした。…気がする。
『なんてー!?』
一応聞いておこう。無視は感じ悪いけど、ま、何も言ってなかったら恥ずかしいだけだし。
母上「は?何も言ってないけど?」
『…』
私は口をつぐんで俯く。フラグって現実にあるんだね。翠雨初めて知った。
携帯を開けば、彼方とマネちゃんからLINEが入っていた。…えっ。
彼方からは
「しろさばって何食うの?」
と。マネちゃんからは
「てめぇ今どこにいやがる」
『( ˘ω˘ )』
私はさっきよりももっと固く、口を閉ざした。
そうだ、私が急に家に来たのは、暇だけど原稿やりたくなくて、来たんだった。
冷や汗が背中を伝う。
なんて送ろうか、焦り出す頭で必死に考えていると
「既読、ついたな?見たんだな?」
と。
これまでにないほどの恐怖を感じた。
朝起きた瞬間、蜂さんとおはようした時より、床のゴキちゃんと目と目が合って恋に落ちた時より、水道のムカデくんの死体を拝んだ時よりも。
“見ました”
とだけ、一応送っておく。既読をつけたのに、完全に無視をすると、後で殺されることは当の昔に知っている。
「原稿は?」
数秒で、そうきた。冷や汗は止まらず、私の恐怖を掻き立てる。
“今、母上の家にいます”
そう送った瞬間、私はスマホを閉じて放り投げた。
ピコンピコンピコンピコンピコン……
デジャヴを感じた人も、いるのではないだろうか。そう、皆大好き真冬と彼方だ。
既読さえ付けなければ、多分大丈夫!うん!
未だに鳴り止まない通知を無視して、自分の部屋から出てリビングへ行く。
そこにいたのは、料理をしている母上と、テレビを見ながら新聞を持ち、そばに携帯を置いているややこしいお父上がいた。
お父上「翠雨、いいところに来たなぁ」
ニコニコ笑うお父上の目線の先には、テレビ。……まさか!!
《祈誓水晶先生に取材してみた!》
『まじか』
これもデジャヴじゃね?
お父上の隣に腰を下ろした。ソファーが私に傾く。え、私そんなに重い?
お父上「ここまで有名になりやがって、お前は自慢の娘だなぁ!!」
『お父上…』
お父上は、豪快に笑った。
お父上「ま!全然帰ってこねぇ親不孝だがな!!!」
『』
相変わらずでした。
外の雨は段々と止んでくる。雨音がテレビの邪魔をするも、懐かしいお父上と一緒に、自分の特集を眺めた。
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キース(プロフ) - るるおさん» なんと嬉しい言葉……更新!頑張り!!ますので!!!これからもよろしくお願いしまァァァァす!!!! (2022年1月7日 10時) (レス) id: f19164db3a (このIDを非表示/違反報告)
るるお(プロフ) - とんでもなく面白い小説を見つけてしまった……続きが!楽しみ!!デェス!!!更新楽しみにしてます♪ (2022年1月7日 0時) (レス) @page28 id: 877b8d529d (このIDを非表示/違反報告)
キース(プロフ) - 月の光さん» 数えたんかい!!!!なぜわかった…!?まさか、お前、勇者か……!?えー、翠雨ちゃんが終わる瞬間も見つめてあげて下さい(白目) (2021年12月5日 13時) (レス) id: f19164db3a (このIDを非表示/違反報告)
月の光 - アの数数えましたー!エンダァァァァァの方が31でイヤァァァの方が35でしたー! 夢主ちゃんおわたやな (2021年12月5日 12時) (レス) @page25 id: 7a85c7ca1e (このIDを非表示/違反報告)
キース(プロフ) - 魔灯さん» マネちゃんはお強いですから…w (2021年10月1日 19時) (レス) id: f19164db3a (このIDを非表示/違反報告)
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