laughing

▶︎ ページ18

．









｢……んー、そらすごく尊敬しているし、良い先輩やと思うよ｣


稲田｢ふーん。それだけ？｣


｢昔っからお世話になってるし、ほんまにありがたいともおもってる。｣


稲田｢好きか嫌いかで言うたら？｣


｢めっちゃ好き｣



えっ、と嬉しそうな声でいなみきが短く叫ぶ。


それを遮るように私は声を上げた。



｢やけど｣



こんな回りくどいやり方せんでも、私、辻さんからの質問やったら拒否しませんで、といなみきの後ろを覗き込んだ。


私の思わぬ行動にドキッとしたのか、いなみきは肩を震わせた。



辻｢……っ〜〜あ〜バレたか〜〜笑｣



｢やっぱり企みの諸悪の根源というか、この企画の参謀は辻皓平かー｣



辻｢え？笑 何の話？｣



俺めっちゃダサいやん、最後の最後でバレてまうとか、と壁に隠れていた辻さんがケラケラ笑いながら登場。



一切恥ずかしさはないように思えるが、それははたまた本心か、それとも──？


｢色んな後輩を駆使して私の情報は集まりましたか？｣


辻｢まあな。



普段から好きって伝えてくれるやつで、家でプロポーズとか告白する男がタイプで、


料理は魚介系のパスタと、甘いものはミルクレープケーキが好き。


デートに行くなら映画館で、サプライズプレゼントはピアスが欲しい｣



こんなプレッシャーの中でも、辻さんはスラスラ喋って余裕そうだ。


私はあくまでめ言われる方なのに、すごい緊張感で今すぐ逃げ出したい。


まるでそこに居ないかのように、いなみきがは息を殺して私たちの会話を見守っているように見える。








．

▶︎→←▶︎

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す