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ていうかそもそもなんでこの子も中谷なんだ？普通、……普通っていうのもおかしいか、阪本じゃないの？相場は。
ほら……顔とか、清潔感とか、お笑いのセンスとか？こういう子は、わかりやすい特徴が好きなんじゃないの？
でもまあ、多方、今売れてるマユリカの恩恵を貰おうとか思ってるんだろうな。阪本よりかはチョロそうな中谷だし。
今年M-1の決勝に進出し、それも初めてながらに4位という好成績を残し、
ファンの人気も昔変わらず右肩上がりで、メディアにもよく露出してるし、
大御所や人気芸人から好感触と、絶大な支持を受けているマユリカ。
そりゃ、上京して右も左も分からない今が、後にも先にも仲良くなっておくたった一度のチャンスだろう。
てかなんで私こんな同期のことこんな褒めなきゃ行けないわけ。それも腹立つし。
嫉妬してるとかじゃないけど、こっちをチラチラ見ながら中谷に媚び売ってる後輩が気になってしょうがない。
勝手にしとけよ、反応見てんじゃねーよ。
どういうつもりだよ、お前は。露出の多い服着やがって。
もっとダサいヤツきろ、芸人ならよ。喧嘩売ってんのか？大阪舐めてる？殴り合い全然するよ、表でなよ。
頭の中でその後輩をボコボコにしながら、黙って酒を飲む。
すると、右斜め前にいた、同じく巻き込まれたダンビラムーチョ大原がチラチラ視線を送ってくる。
なによ、と笑いながら少し席を移動した。
大原｢いや、中谷羨ましいなあと思って」
｢羨ましいのかよ笑」
大原｢Aも芸人の中じゃレベル高い方だとは……」
｢そこ危惧してへんわ、しばくで」
ちなみに、位置的には、私は長机の左側にいて、中谷は隣。私から斜め前にその猫かぶりネキこと後輩の子がいる。
後輩｢中谷さんってぇ、何でもできますよね！トーク上手いし、MCもできるし〜……
ほんまにめちゃくちゃ尊敬するっていうか……あ！中谷さんと喋ってたら関西弁映っちゃった！えへへ、恥ずかしいな」
中谷｢えー！かわいい！へへへ、そんなことないよぉー！でも嬉しいこと言ってくれるやん〜誰にでも言ってんとちゃうんそんなん？笑」
後輩｢む〜！そんなことないです！私は本当にすごいと思った人にしかこんなこと言わないです！ほんとだもん！」
二人の会話が聞こえてくる。左耳は遮断しよう。そうしよう。私は大原に集中する。
小さい声でコソコソと喋る。
｢大原はああいう子すきなん？」
ああいう子、で依然、中谷に甘えてもなんのメリットもないのに必死な後輩を小さく指さした。
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作者名：流 | 作成日時：2024年3月3日 22時
