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後輩｢わ〜〜今日は連れてきてくれて本当にありがとうございます〜！｣
嬉しい〜！と甘ったるい声でクネクネしながら声を上げる後輩の視線は、みなに注がれているのではなく、ターゲットにしたあいつにだけ。
後輩｢Aさんも♡｣
｢ううん、気にせんで。いっぱい飲みや｣
後輩｢わあ、ほんとにかっこいい！男の人だったら私惚れてますよ？
あ、でもAさんは女の人からモテますよね！ファンの方も女性の方が多くて！
羨ましいな〜私男性のファンの方が多くて……。女性のファンが多い方が、カッコイイですよね！なんか媚びてる感じしなくて！」
あ、私ばっかり喋っちゃいました！すみません、とメニュー表に目を向ける。
このわざとらしすぎるあざとい行動に、何も食べてないのに胃もたれしている。正直帰りたい。
なんで私ここにいるんだろう。
てかなんで先輩の私がこんな気遣わなきゃいけないの。このあざとさが飲み会では正義だからか？
嫌だな、イライラする。お金だけ置いて帰っちゃおっかな。
始まってすらない飲み会。この、お笑いという場を出会いとしてしか見てない舐め腐りやがった後輩芸人の提案の元、数人で飲みに来ている。
その場に居合わせた私は、ほぼ自発的に参加したいとは言っておらず、強制参加と言っても過言ではない。
他にもまだ、私の喋りやすい何人か誘おうとしたらしいが、周りにいるのは売れっ子ばっかりで、急にこの後空いてるなんてのは、私しかいない。
流されやすい性格をここまで恨んだことは無い。
後輩｢でも、最近忙しそうですし、大丈夫でしたか？もしかして、わざわざ予定空けてくれたとか……？」
そのロックオンされてる相手が、こいつなのも、マージで気に入らない。
中谷｢あはは！え、そんなことないで！全然大丈夫。俺も飲みたかったし！」
な、とその笑みを向けてくるので、控えめに笑いながら私も｢交流は、大事やしな｣と相槌を返しておいた。
後輩｢よかった！ようやく上京してくれたから、ぜっーったい中谷さんと飲みたいと思ってたんです！話合いそうだなぁって、」
えへへ、と漫画でしか聞かないような声で笑って、コップの縁をなぞりながら上目遣いで中谷を見る。
えーまじでー？と満更でもない様子がコントを見てるみたいで逆に笑けてくるけど。
鼻の下伸ばしまくりやがな。ボディタッチ激しすぎやろ。なにあれ。怖っ、東京怖っ
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作者名：流 | 作成日時：2024年3月3日 22時
