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でもまあ、結局あれで良かったのだ。
ズルズル関係を続けて、戻れなくなって、もっと深い傷を負うのに比べたら、こんなのは全然浅い。
てかほんまに、一切エ ロいハプニング無かったの奇跡ちゃうか。やりたかったかと聞かれればなんとも言われへんけど。
スーパーにいると妙に考え事が捗る。それはここがあいつと会った場所であるからか。
なんとなく避けてたのに、今日の晩御飯を考えてたら、いつの間にかここに来てしまっていた。
もはや、苦い思い出だ。
？｢あの、｣
聞き覚えのある声に思わず肩が跳ねた。怯えるようにしてサッと助走をつけて、走る。
？｢あ、ちょい、待てって！気まずいの俺もやねん、待てやおい｣
グイッと肩を引かれて、無理やりにでも目が合う。きっと私の顔は、狼狽して顔の筋肉がガチガチに引きつっていることだろう。
じっとこちらを見つめる阪本は、私が身勝手に別れを告げた2ヶ月前から、全く変わってなかった。
あ、でもちょっと痩せた？
阪本｢なんか、ソワソワしたから俺もここ来た。
連絡するのも気まずいし、会うんやったら会ってまえって……。
俺意気地無しやから、パニックなってもうて……そん時言われへんかったけどその……
俺も同じ気持ちじゃ、ボケ……」
なんで最後罵倒いれた？いる？それ？
そのムチャクチャな構成の言葉の羅列と、早口加減と、ぐちゃぐちゃな表情で、だいたい何が言いたいのかわかった。
耐えきれず、喉がひくついて空気が漏れた。何笑ってんねん、と割と強めに頭を叩かれる。
｢あいて｣
阪本｢あとおまえ、急すぎ。酔ってるやつにあんなこと言うな！グ ロい夢かと思ったわ。
歩いてる途中、とんでもないことなってもうたって、めちゃくちゃ酔い冷めて飲み直し効かんし。
ずっと考えてもうて、仕事もあんま調子良くないし……。」
エ ロい目で見るんやったら、俺の方が絶対先やし。
何がそんな誇ることか、また眉間に皺を寄せてそうドヤ顔で宣言する。
ああ、よかった。またこの不機嫌な顔が見れた。
そう思うのって、やっぱり諦めたと思ってた心は諦めきれてなかったんだな。
｢……じゃあ、今日、ウチくる？｣
阪本｢お、おぉ……、まあ、うん……。じゃあ、お邪魔する……｣
｢じゃあてなに。じゃあいい｣
阪本｢行くって言ってるやん！変なところでへそ曲げんな！ブス！｣
｢は！？最低！そんなんやから振られるんちゃうん！！｣
阪本｢黙れ黙れ黙れお前にだけは言われたくないですう｣
｢ウザ！！！笑｣
私たちの関係なんて、もっと簡単でよかった。
目の前をずんずん歩く、耳の赤い阪本を見ながら、クスリと笑った。
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作者名：流 | 作成日時：2024年3月3日 22時
