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堂前｢あ、兎？Aに言うた？てか会った？｣
兎｢……それがさ、言うてんけどさあ。やっぱり気づいてないみたいやで。
ていうか、その話しとったら遮るみたいに中谷入ってきよった。
奥にこっち睨む阪本も見えたし。ほんまあいつら策士やわ｣
もはや怖い、と二の腕をさすりながら兎は堂前に訴えかけた。
困った顔をして、堂前も連動するように腕を組んでため息を着く。
その場には立ち尽くすロングコートダディだけが残された。
堂前｢あーやっぱり邪魔入ったかー……。ちょっとええ加減、雷落とさなあかんかなあ？俺から｣
ロングコートダディは頭を抱えていた。それは無論、同期のAと、マユリカの異常な友好関係について。
人見知りである彼女は、なかなか後輩と絡まず、特定の仲良しのコンビに逃げる特性がある。
仲のいいロングコートダディからは、それがあまりよくないと感じていた。
その特定のコンビというのがマユリカで、彼らも彼らでAという存在に頼りきってばかりいるのが窺える。
もはや無視できないほどの悪循環ができあがっていた。
……というのは建前で、あまりにも独占欲の強いマユリカが、Aを離そうとしないので、こちらとしては気軽に飲みにも行けやしない。
ロングコートダディにはAと同期であるという、なかなか強いステータスがあるのに、あいつらはそれを諸共せず後輩という特権を無駄なく行使してくる。
彼女の物事の先々に常に彼らの先約があり、ロングコートダディの行く手を阻むのであった。
しかもそれは偶然ではなく、
明確な、計画性を持って、
行われているものだった。
堂前｢……あの猫かぶり野郎共がッッ！」
言うなればただの嫉妬であり、ただ一人の女性を男4人がみっともなく奪い合っているだけなのだが。
堂前｢ちなみにAにはなんて注意したん？｣
兎｢マユリカばっかりと絡んでるとほかの後輩に舐められるぞー的な感じ？｣
堂前｢ふーん……じゃあ俺らはマユリカに舐められてるんかもな。｣
兎｢………………顔、怖｣
どうやって食ってやろうかと、頭の中でマユリカをごっちゃごちゃにする堂前だった。
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作者名：流 | 作成日時：2024年3月3日 22時
