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お得意の幼馴染みパワーで何とかしてよーと中谷の肩を揉むと、Aさんのぶりっ子の方が効く気がしますわーとケラケラ笑う。
ぶりっ子て。世渡り術と言ってくれよ。なんで後輩にあざとくせなあかんねん。
｢阪本拗ねるとめんどいからなー｣
中谷｢マジでそう。眉間にえぐいシワ寄ってますよ｣
｢うひゃー考えるだけで怖い｣
阪本｢いや、全部聞こえてんねん｣
目の鼻の先で仁王立ちする阪本を見て、はははと笑った。
遅くないですか、と睨みつける姿はまるで先輩を見る目では無い。
｢兎に拉致されてしまって｣
阪本｢兎さん？また変なこと吹き込まれたんですか｣
中谷｢先輩への言い草酷すぎるやろ｣
｢あんたらとばっかりとつるみすぎて先輩の威厳がないから、いい加減マユリカ離れしろって｣
そう言うと、キョトンとしてこちらを見る2人。やっぱり、本人もあまり意味がわかってないらしい。
私も自覚症状ないもん、そんなん言われたら困るよね。
てか威厳がないって何。特定のコンビばっかとつるむとそうなんの？
｢まあでも、あんたらが一番絡みやすいから行きがちなんよな｣
もっと若手の子とも交流すべきか……翔の子とかお金ないやろうしなあ。
ご飯連れてってあげたいけど、あまりにも交流ないのに急に｢ご飯行く？｣とか、相手も気まずいやろうし……
てかそもそも私普通に人見知りやし、自分から声掛けに行くのはなかなかハードルが高い……。
と、色々考えながら前を歩くと、歩く音がひとつしかないのに気づく。後ろを振り向くと、じっとこっちを見ているマユリカがいる。
｢え、なに？またなんか爆弾発言した？｣
中谷｢俺らはそれでもいいですけどぉ｣
｢なにが？｣
阪本｢俺らばっかりとつるむの、ええと思いますけど｣
なんだか照れくさそうな顔で言うので、思わず吹き出す。なんだか、昔の彼らを思い出して懐かしくなった。
いつしか、ライブの合間に2人に呼び出されたことがある。
｢どうしたん、改まって……｣
中谷｢Aさん、あの、Aさんが売れても、俺らのことずっと可愛がってくださいね！？｣
｢えっ？｣
阪本｢俺らにはAさんしかいないんです！！頼みます！！｣
いつも生意気なくせに、そのときだけは嫌に律儀に頼み込んでくるものだから面食らった。
そんなの言われなくても可愛がるに決まってるやん。
｢いやいや……そんなの、言ってこんでええよ。むしろこっちが｢可愛がらせてくれ｣って言いたいぐらい……。｣
中谷｢最近、1年目の子らとかと仲良いから、すみません、勝手に不安になって……｣
阪本｢すんません｣
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作者名：流 | 作成日時：2024年3月3日 22時
