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で、お酒に身を任せながら色々喋ってたら、2人とも恋人に振られてすぐだということが判明した。
ポツポツと相手のことがこんなに好きだったとか、あんなところが嫌だったとか、でも忘れられないとか、呟いていくと、涙が止まらなかった。
そんな私を見て、阪本も泣いていた。
のちのち気づくことだけど、あいつは酒を飲みすぎたら吐いて泣くらしいから、
私の傷心した心に同調して泣いてくれたのか定かじゃないけど、
その時は動機がなんであれ、純粋に一緒に泣いてくれたのが嬉しかった。
久しぶりに会ったにしては、かなり濃い夜を過ごした私達は、傷の舐め合いを称してよく宅飲みをするようになった。
互いの仕事の嫌なところとか、嫌な上司の愚痴とか、楽しかったこと……まあ主に愚痴しか言ってなかったけど、
他愛ない話をできる相手がいることは、大切な人をなくした互いにとって、いい薬だった。
もちろん、今の今まで、過ちを犯したことは無い。
｢はい｣
阪本｢なにこれ？｣
飲み友の関係が大きく発展して、酔った勢いで余っていた合鍵を渡した。
阪本は最初はぽかんとしていたけど、私の意図してない裏の意味に、気づいたぞ、というように少し困った振りをした。
私はそれに首を振る。
｢いや、そんなんちゃうわ……勝手に入っててもいいよってこと、この家に。それぐらい、あんた入り浸ってるし」
阪本｢ビックリした〜〜告白されたかんと思った｣
｢にしては男らしすぎるって。初手で合鍵渡すって、イカついやん｣
酔いの勢いで渡したものだったし、シラフの今考えれば異常だったけど、2人ともベロベロに酔ってたから、特におかしいなんて思わなかった。
阪本の職業で言う、ボケ？みたいなもので、次飲む時に｢これ、前渡したやつ。さすがにな｣って返して貰えると思ってた。
でもちゃんとこいつ、その合鍵持って、私が仕事から帰ってくる前にちゃんと私の部屋にいる。
何を考えて、1人で、私の部屋で、致死量のハイボール飲んでるんだよ。
｢なあ、｣
阪本｢なに？｣
あー飲みすぎた、って、いつも言ってるセリフを聴き流しながら、私は彼の近くに座った。
｢もう、フラれた傷は癒えた？｣
阪本｢……さあ……。てか、そんなんいつの話？1年前とかか？」
そんな経ってんねやなあ、と感慨深く言う阪本は、私がこれから言及することについて、遠回しに避けたがっているようだった。
キューっと心臓が音を立てて捻れるような胸の痛み。
ちゃんと、はっきりしないと。
｢私は癒えたよ｣
阪本｢……｣
｢なあ阪本｣
阪本｢だから、なにって｣
｢今の私たちの関係ってなに｣
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作者名：流 | 作成日時：2024年3月3日 22時
