▶︎ ページ30
まじであっかんこれ。
目の前に座るAの鼻を見る。目なんか見てられへん。
ヤバいな、自分で言うたけどここまでとは思わんかった。Aノリノリやん。なんでこんなおめかししてくんねん。
ラジオを撮り始めて何回か、デートシュミレーションをしたけど、もうダメダメ。
おもろいくらいに話は続かず、マジの沈黙とか照れが入って前回よりも絶望的。
そんな様子を見て阪本はゲラゲラ笑う。
Aも楽しそうだったし、爆笑ポイントもあったから、ラジオの撮り高的には良かったのかもしれないが。
｢30分って一瞬やな｣
スタッフさんに律儀に頭を下げて挨拶をし終えたAが伸びをしながら近づく。あ、うん、と淡白な返事しかできない。
｢せっかくお洒落したしこのまま劇場行くんもったいないわ。ご飯食べようや｣
行きたい店あるねんかーとスマホをスイスイ動かす。
あ、まさかの実践？？と面食らっていると、阪本が気配を薄くしてそのまま消えようとしているのを発見。
中谷｢ちょいちょいちょい！！どこ行くねんお前！！｣
阪本｢なんかいい感じやん。2人で行けや｣
中谷｢無理無理無理無理！！なんならまだ見慣れてないから！！あの眩しい格好に！！｣
阪本｢あいつ、お前のためにお洒落してきたって言ってたで｣
中谷｢は…………！？！｣
阪本｢ほんで、その自覚、ないみたいやった。今が千載一遇のチャンスや。気張れ、漢 中谷｣
中谷｢いやだから……！、！｣
あった！と奥でAが嬉しそうな声を出す。ビクッとそのまま固まってしまった俺の背中を叩く。
｢ここーイタリアンやねんけどさーマジで美味そうじゃない？あれ？阪本？あんたも行くよな？｣
阪本｢いや俺は……｣
｢はー？今更あかんとか言わせへんで、2人とも問答無用で着いてきてもらうから｣
ほら、行くよ、と腕を捕まれそのまま俺の心臓も掴まれる。
まじで鈍感すぎて腹立つわ……殺したい……と物騒すぎる独り言を言いながら、阪本もつれていかれていた。
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作者名：流 | 作成日時：2024年3月3日 22時
