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後輩｢え、もう帰るんすかー！」
後輩｢もうちょっと居てくださいよー！」
｢パスパス！明日早いし！お金は置いとくから、これで払っといて」
ズッ、と大体の数を考え、これくらいか、という金額の札を引き抜いて近くの子に渡した。ありがとうございます、と軽く頭を下げられる。
チラッと大原を見れば、彼もアウターを着て｢丁度いいから俺も帰るわ〜」と芝居臭い言い方で笑った。
後輩｢大原さんもすか？えー寂しいなー」
大原｢まあまあ、また誘うから」
んな、と同意を求めてくるので、ほろ酔いで適当に頷く。
気遣いであんまり注文できなかったから、次では結構食べよっかなーとか、あ、肉、肉食いたいなーとかしか思ってなかった。
そんな、もう帰りますモード全開の私らを、強く止める声が、ひとつ。
中谷｢え、え、A帰んの、？まだおりーや」
迷子になった子供みたいな、うるうるした目でこちらを見てくる中谷。
目の前には、中谷が見てないことをいいことに、睨みつけてくるぶりっ子女。
そんな地獄の権化みたいな2人に、爽やかな笑顔で言った。
｢帰るよ」
中谷｢え……、う……、まじか、そうか……」
チラ、とその後輩を見て、少し悩んだように唸った後、手元にあった梅酒ソーダを飲み干し、｢俺も帰る、」といそいそ用意する。
思ってもみなかった展開に、｢え？」と私は思わず声を漏らした。
｢な、なんでよ？その子と楽しそうに話してたやん」
後輩｢そ、そうですよ！これから盛り上がるところだったのに！むぅ、中谷さんともっと仲良くなりたいですよぉ……」
中谷｢いや、マジで。A帰るなら帰るし、ごめんけど。あ、大原も帰んの？」
大原｢え？あ、おう……」
中谷｢そうか、偶然やな」
その後輩のぶりっ子にさっきまでメロメロだったくせに、魔法が解けたようにちゃんとしっかりめに拒否する中谷。
ていうか偶然なわけないやろ。何言ってんねんこいつ。
大原や私と同じように札を引き抜いて、目の前のぶりっ子後輩に押し付ける。
もう靴を履いて、帰りの挨拶〜ぐらいに思っていた私たちの後ろをドタドタと着いてくる中谷を、
周りにいた後輩もぽかんとして、その様子を見ていた。
中谷｢じゃ！ありがとう！みんなあんま遅くならんように、気をつけて帰りや！」
行こ、と何故か引率している中谷に連れられ、｢先帰ってごめんな！楽しんで！」と私、
｢美味いもんいっぱい食えよ〜」と大原、その場で思いついた適当な挨拶を言って、その居酒屋を後にした。
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作者名：流 | 作成日時：2024年3月3日 22時
