翼無き鶴【暗殺教室】 (ページ3)

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依頼の時間ページ3

『月が！！爆発して7割方蒸発しました！！我々はもう一生三日月しか見れないのです！！』

3月の中旬、突如そんな臨時ニュースが流れてきた。いきなりかつあまりにも現実離れした内容に理解が遅れ、家族揃って箸を落としたことは今でも鮮明に覚えている。そして、そいつはやってきた。

「はじめまして、私が月を爆(や)った犯人です。来年には地球も爆(や)る予定です。君達の担任になったのでどうぞよろしく」

ツッコミどころしかない自己紹介と、その人間離れした黄色いタコみたいな風貌に、クラス全員の心が一致したのは、きっと気のせいではないと思う。まず5、6ヶ所突っ込ませろと。

「防衛省の烏間という者だ。まずは、ここからの話は国家機密だと理解頂きたい。

単刀直入に言う。この怪物を君達に殺して欲しい！」

曰く、言ったことは真実で、各国首脳が秘密裏にタコみたいなやつを殺す努力を続けているらしいが……

「こいつはとにかく速い！殺すどころか、眉毛の手入れをされてる始末だ！丁寧にな！満月を三日月に変えるほどのパワーを持つ超生物だ。最高速度は実にマッハ20！！」

そしてタコ先生曰く、その無理ゲー状態は面白くないので、椚ヶ丘中学校の3年E組の担任ならやってもいいとのこと。

いやなんでさ。

私含め、全員が突然の暗殺依頼に困惑する中、烏間さんはそれを一瞬で吹っ飛ばす一言を放った。

「成功報酬は100億円！」

「ファッ!?」

烏間さんは「暗殺の成功は冗談抜きで地球を救うことなのだから」と言ったが、規格外の額に思わず驚きの声を上げた。……この時少しざわめきはしたものの、大きな声上げたのは私だけで、羞恥で机に突っ伏したのは内緒だ。隣にいる寺坂には怪訝な目で見られていたけど。

「さあ皆さん、残された1年を有意義に過ごしましょう！」

こうして、月を滅ぼした超生物との異常な暗殺教室が幕を開けた。