【アイナナ】すごい幼馴染【Re:vale】 (ページ9)

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008 past ep.Momo ページ9

俺とAが入学した高校は、進学校ながら、部活動にも力を入れている学校だった。なかでも、サッカー部とマーチングバンド部は全国大会常連とも言われる強豪校。

「モモくん、今年もレギュラー入りしたんだって？」

「そうそう！最後の夏だから、気合い入れていく！」

「ふふ、おめでとう！頑張ってね！……たぶん、試合見に行けないんだけどね」

「いいよ、Aだって大会前だろ？」

「うん、まぁね、」

放課後の練習は下校時刻ギリギリまで。休日もほぼ一日中。お互いに終わる時間が同じで、帰る方向も一緒だったから、自然と一緒に帰る流れになっていた。

「お互いに大会終わったら、遊ぼ？」

「そうだな！どっか遊びに行こうぜ！」

「やった、じゃあ行きたいところ考えといてね！」

「おう！」

そんな約束をした一週間後だった。

「百瀬！？」

「－－－－っ、」

その日は近隣の高校が集まる模擬試合だった。試合中、俺は相手との接触による怪我をした。痛みに悶えて倒れて、気付いたら真っ白い病室だった。

「リハビリの経過にもよりますが、前のように運動できるようになるまで三ヶ月ですね」

医者から言われた言葉は俺を突き落とすには十分すぎていた。とりあえず、二週間は入院だと言われて看護師さんに車椅子を押してもらって病室へと向かう途中。

「……モモくん！」

「…………あ、A……」

きっと母さんが連絡したのかもしれない。血相を変えたAが、走ってきた。看護師さんは察してくれて、病室の準備してきますね、と俺に病室の番号だけ伝えて会釈して去っていった。

「……膝、やっちゃった」

看護師さんに代わって、ゆっくり、ゆっくりと車椅子を押すA。

「……うん」

「運動できるようになるまで、三ヶ月はかかるって」

「うん」

相槌を打つだけで何も言わないAに、俺はポツリポツリと話す。

「……インハイ、間に合わないよなぁ……最後だったのに」

病室に着くともうさっきの看護師はいなかった。支えてもらって車椅子からベッドに移る。今の俺は自力で立つのもやっとだ。

「モモくん」

「なに？」

「……泣きたいなら、泣きなよ」

「え？」

「……私、向こう向いてるから。強がらなくてもいいよ。私、モモくんが頑張ってたの知ってるから。だから……」

幼馴染ってすげぇなって。俺の強がりはAには通じない。俺とAしかない病室で、俺は声を押し殺して泣いた。