004 side to..Momo ページ5
「よいしょっと」
一度部屋に帰ると言っていたAを見送ってから、再び寝る気にはならず。まだ床に転がっているユキをとりあえずソファーまで引きずって寝かせる。
「Aが片してくれたんかな」
昨日……いや、朝方戻ってきたんだから今日か。打ち上げでもほろ酔いだったのに、戻ってきてからも浴びるようにとは言わないけど結構飲んだ。元旦の特別番組をBGM替わりにして、去年の思い出話と今年の目標とかを話しながら、まぁ、それはそれは飲んだ。ユキのこの熟睡さを見ればわかる。俺だって二日酔いになっていないのが奇跡なくらい。
「モモくん、寝てる？」
「おー、Aおかえり」
彼女が帰ってくる前に、と。シャワーを浴びてガシガシと頭を拭いていれば、丁度戻ってきたAと鉢合わせ。
「わっ、なんで半裸……」
「いまシャワー浴びたとこ」
「……モモくんって以外と筋肉あるよね」
そう？なんて、ぺたぺたと自分の上半身を触る。筋トレとかあまりしないけど、普段から動いてるからかなと自己解決。
「っていうか、服着ないと風邪ひくよ」
「大丈夫だって」
男女っても、幼馴染なんてこんなもんだ。騒ぐほどの年齢でもないし。でも正月早々から風邪なんて引きたくないのは確かで。おずおずとTシャツを着た。
「ご飯なに〜」
「ん〜、お正月だしね。すき焼きにしようかと思うんだけど……」
「おっしゃ、肉！」
「あんなに飲んでたのに、重たいもの食べて大丈夫？」
「大丈夫だいじょーぶ！」
「ユキくんも大丈夫かな？」
「ユキはお肉苦手だから、野菜多めにすればいいよ」
Aは料理が上手い。彼女の腕はユキも太鼓判を打っていて。だからこうやって一緒に食べることは多く、下積み時代からの習慣みたいになっている。
「俺も手伝うよ」
「じゃあ、フライパン見てて」
「はーい」
三人で食べる時は、ユキがAを手伝ってキッチンに立つことが多い分、こうやって自分が隣に立っているとなんだか不思議な気持ちになる。まるで……新婚さんみたいだなって思っちゃったりして。
「……なんか、いいかも」
「？なにが？」
「あ、何でもない」
「ふーん？あ、モモくんボーとしてないでちゃんと見ててよ。焦げるから」
「ああ！ごめん」
なんてね。ユキには悪いけど、俺はこの二人の時間がたまらなく好き。
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作者名：凛々瑚 | 作成日時：2018年3月16日 23時
