030 side to .. Momo ページ31
「え……っ！？あの子たち、この曲は……」
「実はね。もうひとつ、二人にプレゼントがあるんだ」
あの子たちが歌っているのは、俺たち、Re:valeのメドレーだ。
「……っ、あはは！なんだよ、もう……。こんなサプライズ、泣けてきちゃうじゃんか……っ！」
「……モモに向けたメッセージだ」
「え……？」
「……そうでしょ、A」
「さて、なんのことやら」
俺たちの近くにやってきたユキはAに問いかける。彼女ははぐらかして答えなかったけど、顔がしてやったりというようなニヤニヤした顔をしているから、間違いないんだろう。
「僕たちの歌には、僕たちの五年間の思い出が詰まっている」
デビュー曲、ヒットソング、ドラマの主題歌、CMの歌、レギュラー番組の主題歌……陸上大会のテーマに選ばれた歌、憧れたアーティストに貰った曲……。
「全部、僕たちの軌跡だ……」
「そうだね……。ひとつひとつに思い出がある」
ユキの隣で歌ってきた思い出。全部、昨日のことみたいに、鮮明に思い出すことができるよ。
「Re:valeはずっと、僕とモモでやってきた。君が僕のパートナーだよ」
ユキにそう言われて、とても嬉しい。やっと……、やっと、認められた気がした。
「そろそろ、スタンバイお願いします」
スタッフから声が掛かり、ユキが返事をする。
「……百さん、どうですか？テープの準備、しておきますか？」
「あ……」
スタッフに聞かれて、思い出した不安。
「必要ないです」
スッパリと言い切ったのはAだった。
「歌えるだろ、モモ」
ユキも、背中を押してくれている。
「……っ、うん……。歌える……！俺、歌えます！」
「了解しました！」
こんなに清々しいのはいつぶりだろうと思った。
「よし、行こう！」
「あ……、待って、ユキ！」
「……向こうで待ってるから」
「ああ、すぐ行く！」
短い沈黙で俺の言いたい事を感じ取ってくれたユキに感謝をして、すぐ側に居るAと視線を合わせる。
「あの、さ」
キョトンとした顔のAに、俺は向き直る。
「このステージ、終わったら、Aに伝えたいことがあるんだ。全力で歌って、踊ってくるから、待っててくれる……？」
「……うん、わかった。待ってる。……行ってらっしゃい」
Aがどう思ってるかなんて、関係ない。ただ、伝えたい。そう思った。
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作者名：凛々瑚 | 作成日時：2018年3月16日 23時
