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やっぱり気になるもので。来てしまったRe:valeの楽屋。楽屋前には、モモくんをはじめとする皆がいた。
「……Aさん、」
「Aも、知ってるの……？」
「うん」
いつの間にか隣に来たモモくんが何か言いたそうにしているのを、シーと口元に人差し指を当てる仕草で制した。だって、もう始まっているから。後輩たちが手伝ってくれているなか、めったに言わないだろう、ユキくんの本音をモモくんが聞き逃す訳にはいかないから。
「どうしたんですか？千さん……。……！大和さん……！何してるんですか！？」
ユキくんの大声を不信に思った陸くんが楽屋のドアを開ける。中の様子がこれで丸わかりだ。
「止めるな……！彼がモモに毒を盛ったんだ！」
「大和さんが……！？」
「あはは……！コイツらが！おまえが！ゼロの領域を侵そうとするからさ！」
「大和さん……！」
大和くんの演技力には、感嘆の言葉しかでない。芝居だと分かっていても、まるで本当ではないのかと錯覚をするほどだった。
「ぶざけるな……！モモの声が潰れる事があったら、君を一生許さない……！」
その時、ユキくんの一際大きな怒声が響く。それから続く言葉にモモくんが目を見開いた。
「あいつが隣に居てくれたから、僕は音楽を続けて行く事が出来たんだ！……僕にとって、モモはゼロ以上のシンガーだ！お前達なんかの……」
それを聞いたモモくんがダラりと落ちていた拳に力を入れるのが目に入る。その拳にそっと、手を重ねた。
「A……」
「行っておいで、」
うん、と頷いてモモくんは楽屋へと入っていく。
「……ユキ……」
「好きにはさせな……、…………え？」
モモくんがいる状況に、ユキくんはふと我にかえったようだった。
「ユキ……。今の台詞、本当……！？」
「本当に決まってんじゃん！な！？千さん！」
「良かったですね、百さん！千さんの本音が聞けて！」
やっぱり、私の読みは当たっていたみたいだ。バンさんの事でしか、取り乱したことがないって言ってたけど。モモくんの事でも、ユキくんは取り乱してくれるって。それほど、モモくんのことを大切に思ってるってこと。
「−−えっ、……大和くん、君がモモに毒を盛ってたんだよね？」
「まさか」
「……芝居だったのか！？」
嵌められたんだと知ったユキくんの顔は、真っ赤だった。
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作者名：凛々瑚 | 作成日時：2018年3月16日 23時
