【アイナナ】すごい幼馴染【Re:vale】 (ページ20)

今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:91,388 hit

019 ページ20

「俺……、まだRe:valeで居たい」

モモくんが不安そうに恐る恐る口を開いたことは、私の予想していた通りだった。どうしたいの、どう思っているの？と、問いかければ、ゆっくり、ゆっくりと言葉にしてくれる。

「俺、本物のRe:valeになりたい……」

それを聞いて、私は少しホッとする。顔を上げたモモくんの隣に座って、固く握られた拳の上に自分の手を重ねた。

「良かった」

「え……？」

「だって、今のRe:valeはモモくんとユキくん、二人のものだよ」

トップアイドルって呼ばれているのも、大きな会場でライブができるのも、昨年末に、ブラックオアホワイト総合優勝が貰えたのも。応援してくれているファンが居るからってのも大きいけど、モモくんが、ユキくんと頑張ったからだよ。

「Re:valeは、モモくんとユキくんの二人で歩いてきた道の証でしょう？」

大学一年の秋。彼は自分の人生を左右する決断を私に話してきた。大学を辞める、と。辞めて、音楽の道へ進む。ユキさんの隣に立つことを真剣な瞳で話してきた。だから、俺に音楽を教えてほしい、と。

「証……」

「うん、」

「俺とユキ、二人で歩いてきた……」

ユキくんの隣に立つために、歌もダンスも必死に練習していたのを、私は知っている。何度もレッスンを重ねて、汗を流して、必死に、必死に、ユキくんの隣に立つことだけを考えていたあのモモくんを知ってる。

「期限なんて、気にしなくてもいいじゃない」

「A……」

やめないで欲しい、諦めないでほしい。必死に頑張ってきたこの五年間をなかったことになんて、しないでほしい。

「俺……、この先もRe:valeで居てもいいのかな」

「モモくんが望む限り、モモくんが進むことを諦めない限り、モモくんはRe:valeだよ」

私にはこんなことしか言えないけど。でも、それでも放っていくことはできないし、少しでも支えになる事ができたら、と思う。

「ありがと、A」

「うん」

「……でも、……ユキは違うのかも」

「うん？」

「ユキは、そう思ってないのかもしれない」

ローズピンクの瞳と視線がガチ合う。モモくんはへらっと笑った。でもその笑顔はどこか諦めたような、そんな想いが見え隠れしていた。

「なんで、そう思うの？」

「……この前、聞いちゃったんだ」