優しいと言わないで ※リクside※ ページ22
「ふぅ・・・うっかりしちゃった・・・ごめんねコーヒーくん。変な空気になって」
コーヒーくんを連れてパピルスの部屋に来た。
前にも来た事あるけどその時と部屋の様子は全然変わってない。
部屋には椅子がないからカーペットの上に二人で向き合うように座ってさっきの事を謝った。
「ハナちゃんが優しいって言われるの嫌いって知ってたのについ言っちゃって・・・」
「・・・?」
「わたしも、詳しくはわからないんだけど・・・ハナちゃんは自分の事『最低な奴だ』って思ってて、優しいとかいい人って言われるのすごく嫌がるの」
ハナちゃんに優しい、いい人は禁句だ。
言えばさっきみたいな事になる。
いつもは優しいハナちゃんが冷静に怒る。あれが一番怖くて、寂しいからわたしはハナちゃんに面と向かって優しいとは言わない。
さっきはうっかりしちゃったけど。
「・・・ハナオは、最低なんかじゃ、ないよ・・・」
「え・・・」
「・・・・・、初めて、会った僕に、一緒に、来ていいって、言ってくれた・・・守ってくれた・・・ハナオは、優しい人間、だよ・・・」
「・・・ありがとうコーヒーくん。きっと、ハナちゃんも受け取ってくれるときが来るから、その時にまた伝えて欲しいな」
コーヒーくんが筆談じゃなくて言葉で気持ちを伝えてくれたのが嬉しかった。
嬉しいのに、何でか涙が出た。
「、リク?ど、どうしたの・・・?」
「っ、どうしたんだろう?悲しくないのにな」
止まらない涙を拭いながら笑う。
コーヒーくんが反応に困るだろうから、何とか言わないと。
「はは・・・これじゃ、またハナちゃんに泣き虫って言われちゃうね」
「・・・、」
「よし、明日に備えて今日は休もう!あ、コーヒーくんはベッド使ってね。わたしはハナちゃんに毛布もらってここで・・・」
「!ま、待って・・・!」
コーヒーくんが強めの口調でそう言ってわたしの手を掴んだ。
ビックリして固まってたらコーヒーくんからパッと手を離した。
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