喧嘩はタイマンで ページ15
「ハナちゃん･･･何もないね」
「ないねぇ」
更に歩き続けてどのくらいか。最早わからなくなるくらい歩き続けた。
それでも雪景色から出られる事はなく、リクもコーヒーも疲れてるように見えた。
「しゃーない。一旦戻ってみるか」
「戻るって、スノーディンに?」
「『結構歩いたけど、戻れる?』」
「おかしなこと続きだし、案外ヒュー(マ)ンと戻れるかもしれないよ?(ﾂｸﾃｰﾝ」
「「････」」
あれ。おかしいな。ここ笑うとこなのに。
何かありえないようなものを見るような目で見られてハナオさんソウルにヒビが入りそう。
「････戻るか」
「そうだね。物は試しって言うし」
「ｺｸｺｸ」
突っ込むことすらされないのか。
･･･まぁいいさ。
取り敢えず僅かな可能性に賭けて来た道を戻ってみた。
その時。地面が大きく揺れた。
「な、何なに!?また地震!?」
「二人共しゃがんで。できるだけ姿勢を低く」
転ばないようにその場でしゃがむと雪が突然盛り上がってなんか出てきた。
「きゃーーーー!!!まま、真っ黒いお化けーーー!!」
「･･･、、!!」
「わぁお･･･何だこりゃ」
出てきたのはリク曰く真っ黒いお化け。
見た目で言ったら全身黒くて絶対に凶悪そうな怪物と言っていい感じのもの。
変なのに出くわしたなちくしょう。
「ガアァァァァァァ!!!」
「リク。コーヒー連れて下がってて」
「わ、わかった。コーヒーくん、こっち!」
二人が離れた直後に怪物が腕?を伸ばして襲いかかってきた。
動きは特別速いわけじゃないから軽く避けて躱す。
アンダインとメタトンと特訓した成果だな。うん。
「なんだか知らないけど、喧嘩なら買うよ?」
キャップのツバを摘んで目深に被り直して怪物に突っ込む。
腕の攻撃を避けて思いっきり胴体に蹴りを入れた。
「(手応えがないしかもなんかヌルッてしたしグニッてした何あれキモい)」
因みに言うと私はヌルヌルしたものが嫌･･･苦手だ。
ナマコ然りタコ然りイカ然り、ヌメリがあって尚且つ弾力があるものはとにかく苦手。
一気に戦意を削がれたけど二人がいる以上んなこと言ってる場合じゃあない。
「落ち着けハナオお前の"覚悟"を見せてやれあれと二人を天秤にかけろﾌﾞﾂﾌﾞﾂ」
「ハ、ハナちゃん?大丈夫?」
「パップがパスタにタコを使ったら残すのか･･･?サンズがイカ刺し食べようって誘ってきたら断るのか･･･?ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ」
一人葛藤してたら後ろでリクの悲鳴が聞こえた。
瞬間、私の体は動き出していた。
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