長男と姉 ページ15
「あれ、Aは?」
風呂から上がり、ﾘﾋﾞﾝｸﾞへと向かうと。いつもﾛﾎﾞﾛを構っている筈の姉が。Aが居なかった。
「なんやグルさん。ちゃんと頭拭いた方がええで。姉ちゃん…は、ベランダ行ったで。」
「そうか。」
もそもそとご飯を貪っていたトン氏に振り返りながら告げられる。
ベランダか。洗濯だろうか。
まぁ、行かない他ない。トン氏に礼を告げ、そのままベランダに行こうとすると。
「グルッペンが姉ちゃん探すなんて珍しいな。」
というコネシマの声が聞こえたが、気にしないでそのまま部屋を出た。
***
ベランダのﾄﾞｱの前に着き、ｶﾁｬﾘとﾄﾞｱを開けると、まだ冷たい風が通り抜けた。
そのﾄﾞｱを開ける物音で気付いたのか、先に居た姉が振り返った。
「あれ、グルッペン。どしたのさ〜、寒いから中入りなよ。」
「その言葉そのまま返すｿﾞ。お前こそ何してんねん。」
「最近関西弁よく出るね。私は煙草休憩。寒い時に吸うのが美味しいんだコレが。」
「…お前、煙草吸ってたか?」
「禁煙してたのよ。」
ﾌｰ、と煙を吐かれる。慣れない臭いに思わずむせてしまった。
ｹﾗｹﾗと笑ったAは、そのまま背を向け、景色を眺め始めた。
…煙草、吸ってたのか。
トン氏とオスマンとは同じだが、一番長く一緒に居たつもりだったが。
知らなかった。煙草を吸ってたなんて。
まだAの知らない事が沢山あるんだろうか。それが何だか気にくわなくて。
…違う。寂しく思えて。
俺の気持ちも知らずに、呑気に煙草を吸ってる姉の後ろ姿が。
このまま夜の闇に溶けていってしまいそうで。手を伸ばしても届かなくなりそうで。
無償に泣きたくなった。
「姉ちゃん。」
堪らなくなって、声を振り絞り呼ぶ。だが、"んー?"と返すだけで振り返らない。
いつものように振り返らない、笑顔の姉の顔が見られない。
それだけで、胸が締め付けられたように痛んだ。
呼ぶだけじゃダメだ。
なんとなくそう思い、手を伸ばす。
さっき思った事とは真逆で、なんなく手は姉を掴む事ができた。
そのまま吸い寄せられるように姉の背中に抱き着く。
「は?え、何、グルッペン?ホントにグルッペン?」
「…不満か。」
「いや、凄い嬉しいけど。」
「…そうか。」
ちょっと嬉しくなって、額をぐりぐりと押し付ける。
そうすると、Aは振り返り、心底驚いた様な表情をしていた。
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ハムぷー(プロフ) - 続きはまだかァァァァァァァ！！！！！！！ (2019年3月5日 22時) (
レス) id: e1b13f536c (このIDを非表示/違反報告)
@Akane.Per_1945:小説執筆中 - ロボロとシャオちゃんちょっと持って帰りますね( (2018年5月27日 8時) (レス) id: 36a89c900f (このIDを非表示/違反報告)
おじゅん(プロフ) - いつも更新お疲れ様です！！すごく大好きです…！読んでる時も、読み終わった時も心が暖かくなって本当に素敵です！応援してます！ (2018年5月2日 23時) (レス) id: bb3fd5cea6 (このIDを非表示/違反報告)
ひだか(プロフ) - ひよのさん» ｺﾒﾝﾄありがとうございます!!もっとﾆﾔﾆﾔしていただけるよう頑張ります!!() (2018年4月5日 1時) (レス) id: e13a110696 (このIDを非表示/違反報告)
ひだか(プロフ) - NORTHさん» ｺﾒﾝﾄありがとうございます!!やっぱり振り回すだけじゃアレかなって思ったんで()そう言っていただけて嬉しいです!! (2018年4月5日 1時) (レス) id: e13a110696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひだか | 作成日時：2017年12月27日 19時
