特別な執着 2 ページ5
自身の中に、取り返しがつかないほどどす黒く渦巻いた感情がある。
抑えきれないほど。
ああ、なんてだめな人間なんだ、自分は。彼は純粋に私を愛してくれている。なのに私は彼を執着させたい。勝手に悩んで、勝手に辛いと思って、あげくの果てに別れたいとまで考えて……。
この感情を、抑えなければ。何がなんでも我慢しなければ、
彼に嫌われてしまうかもしれない。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
最近、集中できない。何をやっていても疲れる。ろくに眠れない。何もかも彼の、いや、彼のことで勝手に悩む自分のせいで。彼と会うたび、彼が憎いとまで思うようになり、帰宅したあとそんな自分を責める。
「あの、Aさん、大丈夫?」
同僚に声をかけられ、我にかえる。
「最近、ずっとそんな感じだけど、ちょっと休んだ方がいいんじゃない?」
「でも仕事が……」
「いいって、まだ忙しい時期じゃないし。何なら送っていこうか?」
少し迷って、彼の言葉に甘えさせてもらうことにした。
「……わざわざ送っていただいて、ありがとうございます」
「いいって、それに同期なんだから敬語も使わなくていいよ。
……ところで、家の前にいる人、Aさんの知り合い?」
平日の昼間にいったい誰がいるのかと思った、が
そこにいたのは__一番会いたくて、会いたくない彼__カラ松だった。
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里(プロフ) - 続き気になるはやくみたい (2019年1月4日 10時) (レス) id: 39c4eaa665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えんどうりんね | 作成日時:2016年2月24日 22時