22 保健室 ページ2
.
｢ちょっ、下ろせって！｣
｢うるせー。黙ってろ｣
そんなに暴れる気力も残ってなくて、俺は大人しく抵抗をやめた。
｢相葉ちゃん、このことあいつらには内緒な。うるせぇからさ、あいつら｣
｢うん、分かった｣
じゃあ、と大野は微笑むと俺をおぶったまま倉庫を出て軽く走り出した。
振り落とされないように、無意識にぎゅっと彼の首に腕を巻き付ける。
｢ちょっお前、苦しいって。俺を窒息死させるつもりかっ｣
｢えっあっ、ごめん！｣
慌てて腕の力を緩めると、前からふふっと小さな笑い声が聞こえてきた。
｢お前、思ってたより軽いんだな｣
｢そ、そうかな？｣
｢うん、女子みてぇ｣
｢うるせーよ｣
｢んな口きくなら、振り落とすぞ｣
｢や、やだ｣
｢んふふ、やっぱかわいいねぇ〜しょーくん｣
｢可愛いって言うな！｣
そんな他愛もない口喧嘩をしているうちに、
2階にある保健室の前にいた。
俺をおぶったまま、大野がガラッと保健室の扉を開けると
そこには、案の定誰もいなかった。
｢あれ？先生、いない｣
｢当たり前だよ。まだこんなに早い時間なんだから｣
｢あーそっか｣
大野は、ぼんやりとそう答えるとベッドに歩いていき
その上に、俺をおろした。
そして、フラフラとどこかへ行ったかと思えば
手に消毒液らしきものを持って、すぐに戻ってきた。
｢それ、何？｣
｢見てわかるだろ？消毒液だよ｣
｢……俺に、してくれんの？｣
｢わりぃかよ｣
｢いや、別に……｣
黙り込む俺に構うことなく、彼は消毒液を染み込ませたガーゼを
俺の体にあてた。
｢いっ！！｣
｢そんなの我慢しろ。一応、男だろ？｣
｢一応は余計だ｣
減らず口を叩きながらも、
こいつ、意外と優しいんだな。
そんなことを、心の中では思っていた。
と同時に、自然と思いだされる昔の記憶。
『いた、いよっ…さとしくんっ』
『だいじょーぶだって。ほら、いたいのいたいのとんでけー！』
『なにそれ？』
『まほうのことば。ほら、もういたくないでしょ？』
『うん！いたくなくなった！さとしくんすごーい！！』
.
.
.
｢なに、人の顔じっと見てんだよ。遂に惚れたか？｣
｢バ、バカじゃねぇの！｣
.
正直、
ちょっと…ほんの、ちょっとだけ
惚れそうだよ。
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名無し(プロフ) - はじめまして！続きがとても楽しみです！更新気長に待ってます！よろしくお願いします^ ^ (2020年6月8日 3時) (
レス) id: f3d6d71c47 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 初めまして！このお話は終わってしまったのでしょうか？（泣）凄くお話がどストライクで、一気読みしてしまいました、この後の続きがとても気になります!!（泣）気が向いたらまた書いてください！待ってます！！！ (2020年5月20日 1時) (レス) id: 93031999db (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 更新お願いしますっっっ！ (2019年10月31日 6時) (レス) id: 4b4c4f73c8 (このIDを非表示/違反報告)
ななさ(プロフ) - 続き楽しみです！生涯愛する貴方への続きも楽しみです。更新頑張ってください！ (2017年8月23日 16時) (レス) id: 12dc32a82a (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - スイミーさんの作品が好きで、何度も読み返してます！ 更新ゆっくりでもいいので待ってます (2016年9月17日 14時) (レス) id: 2b88837529 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スイミー | 作成日時：2015年5月17日 13時
