ossan couple .- past story -(赤) (ページ5)

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俺の問いかけに図星をつかれたのか、

一瞬瞳の奥がぐらりと揺らぐも

再び先程と同じ瞳になり、ふわりと微笑む。

『…先生に言ったら、

"俺はちゃんと避妊したんだ。

お前は今、受験生だろ。将来に響くから、

今回は諦めてくれ"…だって。』

『それ、もう堕ろせって言ってるのと一緒じゃんね？』

『それに、次なんかないのにね。』

再び、儚げに笑う彼女から目が離せなくて

そんな顔にさせるそのクソ教師が

どうしても許せなくて。

教育者らしからぬ言葉に、

段々俺の方が怒りを覚えなにか一言

慰めてやろうと横に居る彼女へ視線を移す。

そして、口からでた言葉は

言おうとしてた言葉とは似ても似つかない言葉で。

｢それでも好きなんやろ…… 、｣

その言葉は彼女へ届かなかったのか、

彼女はそっと自分の下腹部を撫で微笑む。

その様子は聖母のように美しく儚げ。

それでもお腹に居るであろう"命"に向ける視線は

愛情に溢れてた。

君は

"ごめんね。"なんて、

謝ってる。

『…それで一気に冷めちゃった。

私、なんであんな人好きだったんだろ。って。』

ふふっと可笑しそうに笑うA。

… うそやん、絶対諦められてへんやんか。