Period8 ページ9
「あの…返事なんですけど」
検査が終わり、金田先生に話しかけた。
いきなりの事に先生は、怪訝そうな顔をした。
「今じゃダメですか？」
眉がピクッと動いたのが分かった。
険しい顔がさらに険しくなった。
「別にいいですけど…春山さんはそれでいいの？」
「はい。気持ちは変わらないんで」
ハッキリ言う。もう迷わない。
＿＿いっくんにも“話さない”って決めたから。
「治療は受けません」
医師は驚かなかった。しかし、隣に立っていた看護士が驚いていた。
「そんな、Aちゃん」
「冬花さん…」
看護士の久遠 冬花さんは、最近検査をしてくれる人。
いつも親身になってくれる。
「久遠さん、黙ってなさい。患者が決めた事ですよ」
「すみません…」
冬花さんが一歩下がった。
逆に金田先生は、一歩前に出た。
「分かりました。だけど、気持ちが変わったら来週までに来てください」
では、と踵を返して去って行った。
そんな素っ気無い態度が今は救いになった。
「Aちゃん」
「冬花さん、心配しないでください」
心配そうな顔をしている冬花さんに、私は はにかんだ。
「ちゃんと検診は来ますから」
「うん…分かった」
じゃあね、気を付けてね。
そう言って冬花さんも行ってしまった。
＊
「ただいま」
ドタどたどた
『おかえり。病院どうだった？』
玄関まで走ってきたお母さんは、息を切らしながらそう書いてある“紙”を見せてきた。
私はそれを読み終わると、ちょっと話がある、とリビングへ向かった。
お母さんは不思議そうな顔をしてついてきた。
そして私は、今日の事をすべて話した。
「許して…くれる？」
そう言ったら、お母さんは小さく笑った。
そして、紙に何かを書いて、見せた。
『いつもありがとう。我儘も言わないで、声の出ない不自由な私を支えてくれて。お母さん、とても嬉しく思ってる。そんなあなたの我儘を、私は受け入れます。あなたを愛しているから。私の事は気にしないで、存分に人生を楽しんでね。』
「お母さん……ありがとう」
私が小学３年生の時、お父さんが事故で亡くなった。
そのショックでお母さんは声を失った。
私はお母さんの声となって生活した。
お母さんは優しくて、元気な人だから、困らせたくなくて、いつもいろいろ我慢してた。
けど、我儘を認めてくれた。
お母さんは私が死んだらもっと不自由になるのに。
また、悲しんでしまうのに。
『悔いない人生にするのよ』
私は大きく頷いた。
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にゃん太郎(プロフ) - ＠青鬼＠さん» また、コメントありがとうございます！本当ですか？嬉しいです！はい！ありがとうございます！ (2014年10月6日 1時) (
レス) id: ed59275e07 (このIDを非表示/違反報告)
＠青鬼＠(プロフ) - 完結、おめでとうございます！！とっても、感動しました。次回作も期待してます！！！ (2014年10月5日 22時) (レス) id: 79fab33b9a (このIDを非表示/違反報告)
にゃん太郎(プロフ) - イナじい＝なっちゃんさん» ありがとうございます*\(^o^)/*頑張ります(^o^)/ (2014年10月1日 18時) (レス) id: 5410f76e99 (このIDを非表示/違反報告)
イナじい＝なっちゃん - きゃあああ！めっちゃカッコイイ！！更新頑張ってください！ (2014年10月1日 18時) (レス) id: 85aee8a223 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん太郎(プロフ) - ルギアさん» ありがとうございます！がんばります！ (2014年8月23日 13時) (レス) id: a77d3f872d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃん太郎 | 作成日時：2014年7月24日 19時
