エピソード5 ページ6
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なにを買おうとしていたんだっけ。
あぁ、そうだ、服とか買いに来たんだっけ。
周りを見渡すとおしゃれな女子高生や、女子中学生。
すごいな。最近の若い子は。
そんなことを思っていると、可愛い服が売っている服屋を見つけた。
行きたいが、行けない。こんなダサい服で入れるわけがない。
「お客様、何かお探しですか?」
「わぁ、!えっあっ…えーと…おしゃれな服を探してて…」
「それならこれなんてどうでしょう。身の丈に合っていい感じですよ。」
「…ちょっと着てみます」
確かに、悪い気はしない。
だけど、この服、胸が強調される。ほんとに可愛い系のあざとい服って感じだ。
店員は、すごく満足げだ。
いや、普通に考えて二十歳過ぎた大人が、この服着てるってやばくない?恥ずかしいんだけど。
だけど、そんなこと気にしてたら、一生服なんて買えない。どうせなら、もう二着くらい、選んでもらおう。
服のバライティーも増えるし、着る機会も減る。
「すいません、あと二着くらい選んでもらえませんか」
「!もちろんです!」
それにしても、可愛らしい店員だ。新人さんなのか?
まぁいいや。それより早く脱がないと次の服が来てしまう。
「お待たせしました!」
「ありがとうございます」
これは、かっこいい系統だ。
だけど、ちゃんと私のイメージを壊さない服だ。
この店員は人をよく見てるのかもしれない。
またまた、満足げな顔を見せる。
もう一着来てみると、可愛いが、違う目線から見ると、また違うかもしれない。
「これら買います」とだけ言い、レジに向かった。
ひたすらレジ打ちをする、可愛らしい店員。
だけど、その姿はよく見ると男の人だった。
「男の人…?」
「え?」
しまった。つい口に出してしまった。
そんなつもりなかったのに、と思っていると、その店員は顔を上げ、私に言った。
「よく、女の人って間違えられるんですよね」
「災難ですね」
「僕、嫌なんですよ、女の人って間違えられるの」
「そりゃそうです、間違えられていい気分の人っていませんから」
淡々と話していると、店員はとてもびっくりしていた。
レジ打ちを終わらせたのか、袋を渡し、そのままどこかに行ってしまった。
不思議な人だ。
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作者名:サラダ | 作成日時:2023年5月7日 18時