エピソード4 ページ5
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火曜日の朝。
バイトのシフトを確認する。
今日はない日だった。
少しだけ、ショッピングモールに行こうかな、と悩む。
2階に行く足を止め、私は少しためらった。
もしかしたら、知り合いに会うかもしれない、と。
私のバイト先もバレたし、あいつらが今どこに住んでいるのかも分からない。
そんな考えはすぐに別の考えで吹っ飛んだ。
「なんで私が怯えてんのよ」
そんなことを口にし、止めていた足を2階へと運んだ。
服選び。タンスを見て、本当にダサい服しか持ってないんだな、と思う。
きっちり保管されていたセーラー服を見た。
いやいや、ないない。20歳超えてるんだよ?コスプレだよ?
心ではダメと思っていたものの、しっかりと制服に手を伸ばして、気がついたころにはもう着ていた。
最初、うわ何してんの、とか思ったけど、途中から案外いけるんじゃない、と思った。
見た目的にはまだ高校3年生のように見える。
「いやいや、無理でしょ」
今持っている服の中で、一番マシな組み合わせを選び、一階へと戻った。
出ていく前に持ち物確認を済まし、車へ向かう。
今日は買い物日和だ、と思うくらい、天気がいい。
昨日の天気とは大違いだ。
車に乗って、少し風に揺られていると、もう二度と会いたくない顔を見つけた。
弱井トト子。私をこんな風にしたすべての元凶。
あいつもショッピングモールに向かっているようだった。
一挙一動が綺麗だ。…腹が立つ。
車を駐車場に停めると、すぐそこに弱井トト子がいた。
気づかれた。
「あら…?あなた…」
「なに?なんか用?」
「いや…何もないけど…」
「あっそう。悪いけど、あんたと私はもう赤の他人。もう関わってこないで」
「言うことはそれだけなの…?あなた何をしたか分かってるの!?」
「は、私悪いことしたって思ってないし」
諦めたのか、何も言わずにそのまま去っていった。
仕方ないでしょ。だってあなたが。
羨ましかったから。
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作者名:サラダ | 作成日時:2023年5月7日 18時