あかいろのきおく。2 ページ39
『違う！』
『！』
『……おそ松は、兄貴たちに兄呼ばわりされんのがいやなんだろ？六つ子なのに、同い年なのに』
ハッと狼狽えた俺に、Aはどこか縋るように更に一歩進める。
『だから、兄貴たちの代わりに、俺が呼び捨てで呼ぶ』
『……は、』
『俺が、おそ松を�犒鮫瓩砲靴覆ぁ�！』
……はは、すっげぇ必死な顔。
いつのまにか、Aは昔の俺の肩を掴んでいた。
『……』
弟の叫びを真っ正面から受けた俺は、さっきまでの機嫌の悪さが嘘みたいな、邪気の抜けた表情でぼーっとしてる。
んで、結構経ってから、呟いた。
『馬鹿じゃねぇの』
『？！ばかじゃねぇ！』
『いーや馬鹿だね。それも飛びっきりのだ』
その言葉とは裏腹に、昔の俺の顔は穏やかで。
きっとAも久しぶりに見ただろう笑みを浮かべていた。
『！！お、そ松……』
『兄貴な。もちろん、兄ちゃんでもいいけど』
『っで、でも！』
『いいんだよ、おまえは。
Aにとって俺は、間違いなく兄ちゃんなんだから』
それは絶対変わんねぇだろ？
にひ、笑いと鼻の下を人差し指で擦った俺。
Aはそんな俺を見て一瞬固まってから、すぐにあぁそうだな、と笑ってみせた。
「ばっかやろう……！」
でもそれは明らかに取り繕った無理矢理な笑顔で。
昔の俺は気がつかなかったのが不思議なくらい違和感だらけのものだった。
そりゃそうだ。
Aは自分が六つ子じゃないことにかなりコンプレックスを持ってる。
それに俺は追い討ちをかけたんだから。
「……こりゃ、あいつが俺を嫌うのも、当然だよなぁ」
思わず声が引き攣った。
でもそんな俺をよそに、昔の俺は上機嫌でグリグリと強めにAの頭をかき混ぜる。
『な、A。おまえにいいもんやるよ』
『！な、なんだよ？』
『んな警戒すんなよー、俺が悲しむから』
その言葉にAはおずおずと右手を開いた状態で俺に出した。
いい子、と昔の俺は呟くと、Aの手に包み紙に包まれた小さなチョコをぽとんと落とす。
『え、これ、』
『チョコレート。急に食べたくなって、さっき買ってきた』
『…………いいのか？』
『おー。俺の気が変わらねぇうちに食え』
俺が人に食べ物やることなんてそうそう無いからな。
悪戯っぽく笑った俺に、Aは掌のチョコをじーっと見つめてから包み紙を剥く。
そしてぽつりと呟いた。
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紫垣(プロフ) - 続きが欲しすぎる (4月19日 19時) (
レス) @page41 id: f62f374630 (このIDを非表示/違反報告)
はまち(プロフ) - ヤバい目から水銀出てもうた｡ﾟ(っ৹ т )ﾟ｡ (2022年10月25日 23時) (レス) @page41 id: 060e95838b (このIDを非表示/違反報告)
しろりん(プロフ) - しばらく更新されていないので心配です…。夢主くん…助かって、お兄ちゃん達と仲良くしてほしい…。(๑o̴̶̷᷄-o̴̶̷̥᷅ ) (2022年3月19日 19時) (レス) id: 5f15beaff6 (このIDを非表示/違反報告)
折り紙(プロフ) - 目から水素水がァ…。更新頑張って下さいィ…。 (2018年8月4日 3時) (レス) id: 0b0984a937 (このIDを非表示/違反報告)
かすてら(プロフ) - この小説とても好きです！続き待ってます(*´-`) (2018年7月18日 16時) (レス) id: f0c376a462 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：●龍● | 作成日時：2017年1月10日 16時
