みどりいろのきおく。2 ページ30
『っえ？』
『どこにも行かないよ。Aが治るまで、ここにいるから』
『……おれ、もう四年生だし。一人でるすばんくらいできるよ』
くしゃくしゃと頭を撫でてやると、むず痒そうにしたA。
その言葉に、昔の僕はため息を吐くとAの頬を優しくつまんだ。
『何歳かは関係ないの。Aは僕の弟なんだから。こんなときぐらい、甘えなよ』
『…………』
『よし』
こくりとほんの少しだけ頷いたAに、満足そうに頷き返す昔の僕。
けどそれと反対に、今の僕自身は困惑していた。
なぜなら。
「……なんで、そんな顔してるんだよ。A
……！」
Aが、布団をギリギリと握りしめて何かを我慢するような顔をしていたから。
『あ、そうだ。さっきプリンも買ってきたんだけど、食べる？』
でも昔の僕はそれに気づかずに、ガサゴソとのんきにビニール袋の中からプリンを出す。
『えっ……！！いいの？兄ちゃん！」
そしてその時にはもう、Aの表情は変わってしまっていた。
……その笑顔は他の人間から見れば普通に見えるかもしれない。
けどさっきの顔を見てしまった僕からしたら、痛々しくてしょうがなかった。
無理してるのがバレバレだ。
『いいに決まってるだろ？
……そうだ。プリン、僕が食べさせてあげようか？』
『っえ？！いいよ！！これくらい自分で食べられっ……〜っ！！』
『あぁほら急に大声出さない！冗談だよ冗談！ちょっとからかっただけ！』
『っうぅ……』
昔の僕がニヤッと笑って放った言葉に、叫んで否定したA。
それが頭に響いたのかうずくまってぷるぷる震えだしたから、慌てて昔の僕はAの背中をさすった。
＊
『っうまい！すっげーうまい！』
そして少しして落ち着いてきたころに、Aはプリンを食べ始めた。
幸せそうな顔で次々とスプーンを口に入れるAには、さっきの表情が微塵も感じられない。
「……」
一瞬、気のせいだったのかな？とも考えたけど、すぐに消した。
確かに、Aは何かに耐えていた。それは絶対。
……何に耐えていたのかは、わからないけど。
「……？」
けどなにか。
僕は何か大事なものを、忘れてる気がするんだよ。
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紫垣(プロフ) - 続きが欲しすぎる (4月19日 19時) (
レス) @page41 id: f62f374630 (このIDを非表示/違反報告)
はまち(プロフ) - ヤバい目から水銀出てもうた｡ﾟ(っ৹ т )ﾟ｡ (2022年10月25日 23時) (レス) @page41 id: 060e95838b (このIDを非表示/違反報告)
しろりん(プロフ) - しばらく更新されていないので心配です…。夢主くん…助かって、お兄ちゃん達と仲良くしてほしい…。(๑o̴̶̷᷄-o̴̶̷̥᷅ ) (2022年3月19日 19時) (レス) id: 5f15beaff6 (このIDを非表示/違反報告)
折り紙(プロフ) - 目から水素水がァ…。更新頑張って下さいィ…。 (2018年8月4日 3時) (レス) id: 0b0984a937 (このIDを非表示/違反報告)
かすてら(プロフ) - この小説とても好きです！続き待ってます(*´-`) (2018年7月18日 16時) (レス) id: f0c376a462 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：●龍● | 作成日時：2017年1月10日 16時
