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Purple ▼ その熱に落ちる ページ4





「あ、一松くん!いらっしゃい!」
「...うん」



カランコロン、とドアに付いた鈴が鳴って、一松くんが入ってくる。
ここは私が働いている猫カフェで、一松くんはここの常連さん。
一度猫が逃げてしまったときに一松くんが捕まえてくれて、それからはお得意様。



「一松くん、今日も来てくれてありがとね」
「......別に。こいつが元気か気になっただけだし」



にゃーお、と足にすり寄った三毛猫を抱き上げて、一松くんが言う。
...仲良し、とは言えないかも。
だけど実は、私にとってはちょっと気になる存在だったり。
するんですが...



「いつものでいいよね?」
「あー...うん。なんでも」
「じゃあちょっと待ってて、すぐ持ってくるから!」



どうしても好かれてるようには思えなくて、接客スペースからは見えない厨房で一人ため息をつく。
__猫が羨ましいなんて、言えないよねえ。
もう一度だけ小さくため息をついて、淹れたカフェオレをテーブルに運ぶ。



「お待たせ一松くん。カフェオレ持ってきたよ」
「......そこ置いといて」



いいなあ、と思ってしまう。
一松くんに遠慮なくじゃれつける猫が。
優しい手つきで一松くんに撫でてもらえる猫が。



「...一松くん、ほんとに猫好きなんだね」
「......別に、猫だけのために来てるわけじゃない」
「え?じゃあなんで、毎日...」



猫と遊ぶためじゃなければ、どうして。
改めて一松くんを見ると、普段はあまり合わない目が合った。
どき、と胸が鳴って、思わず目を逸らす。



「......好き、だから」
「なにが?猫?」
「違う、猫じゃない」



テーブルの上に置いていた手を手に包み込まれる。
冷たい口調の割には、熱く火照った手。



「好きだからだよ。...あんたのことが」
「......っ!」



ずっと求めていた言葉は、それだった。
熱を帯びた手、視線、声。
何もかもが私に向けられていて、...こんなに幸せなことはないと思えて。
もちろん、返事はもう決まっていた。



Blue ▽ 降り積もる心→←Pink ▽ なんかいだって



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設定タグ:おそ松さん , 恋愛 , 短編集   
作品ジャンル:アニメ
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のんのーー(プロフ) - この作品……すごく好きです!あの、「可笑しいくらい君が好き」って嵐さんのキャラメル・ソングですか? (2017年12月19日 20時) (レス) id: c41abcf11d (このIDを非表示/違反報告)
凜松 - こんにちは〜♪凜松です このお話し大好き (2017年2月15日 11時) (レス) id: 2a608cd23b (このIDを非表示/違反報告)
聖奈 - 文才分けて欲しいです‥‥すごすぎます・:*+.\(( °ω° ))/.:+ (2017年1月9日 23時) (レス) id: 6118d92b47 (このIDを非表示/違反報告)
シヴァ - どの作品もすごくよかったです! 精神回復しましたww (2016年10月19日 23時) (レス) id: fd37f4a3ac (このIDを非表示/違反報告)
オムちゃん(プロフ) - 夜月さん» やいやもうすごく良かったです!! 許すも何も最高でしたよ(*Ü*) ありがとうございました!! (2016年10月10日 5時) (レス) id: 87fbbdacd0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夜月 | 作者ホームページ:http://plas-yuno08.jimdo.com  
作成日時:2015年11月8日 3時

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