Red ▼ 社畜とニート ページ26
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「...ただいまー」
「おっかえりー!!」
「また来てたの、おそ松」
「今日はちゃんと行くってメールしたし!」
「あー、見てないわ。ごめん」
「いいけど!お疲れ、」
頭に乗ったおそ松の手のひらから伝わる体温が身に染みる。
今日も怒られた。私のミスじゃないのに、頭下げて。
後輩にフォローされて、通りすがりの他部署の上司に馬鹿にされて。
...今日も、散々な一日だった。
「...おそ松、ぎゅってして」
「いーけど、家上がってからなー?ほら、靴脱いで」
「...ん、」
「よしよし、えらいな。歩く?」
「...だっこ、」
「んじゃ姫抱っこな」
お前また軽くなったんじゃねえの、忙しいのは分かるけどちゃんと飯食えよ。
軽々私の体を持ち上げてそう言うおそ松は、すっかり気遣いができる男になってしまった。
部屋の方からは美味しそうな匂いが漂っていて、最初はあんなに下手だったのにな、とちょっと感慨深くなる。
「はいよ、とうちゃーく」
「...ありがと。今日、ハンバーグ?」
「ん。自信作、だけどその前に」
視界が赤い布地でいっぱいになって、ぎゅっと正面から抱きこまれる。
頬ではリップ音が響いた。
「...今日も一日、お疲れさん。よく頑張ったな、A」
「ん...ね、口にはしてくんないの」
「あらあら、わがままな彼女さんですこと」
くすり、笑ったおそ松は、
額と、頬と、それから鼻先に軽いキスを落とす。最後に唇にもひとつ。
「...ごはん冷めるから、続きは後で、な」
「うん...」
いい子、と頭をもう一度撫でて、おそ松はキッチンに向かった。
私はソファで待機。以前手伝うと言ったら、怪我されると困るから、と断られた。
少し待つと、キッチンからおそ松が現れる。
両手には二人分のハンバーグ。
「悪ぃA、ごはんよそってきてくんね?」
「うん、分かった」
短い距離を走って、炊飯器の蓋を開ける。
ツヤツヤの白いごはん。
空腹を刺激されて、急いで二つの茶碗にごはんをよそう。
「お、ありがとな」
「ううん、これぐらいはしないと」
「じゃあ食べるかー」
「お腹空いたね」
「だな。せーの、」
「「いただきます」」
半同棲生活をはじめて、一年が経った。
ねえ、そろそろ、一緒に暮らしてみませんか?
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# Purple ▽ 彼氏様の仰せのまま→←Pink ▽ もっともっと知りたい
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のんのーー(プロフ) - この作品……すごく好きです!あの、「可笑しいくらい君が好き」って嵐さんのキャラメル・ソングですか? (2017年12月19日 20時) (レス) id: c41abcf11d (このIDを非表示/違反報告)
凜松 - こんにちは〜♪凜松です このお話し大好き (2017年2月15日 11時) (レス) id: 2a608cd23b (このIDを非表示/違反報告)
聖奈 - 文才分けて欲しいです‥‥すごすぎます・:*+.\(( °ω° ))/.:+ (2017年1月9日 23時) (レス) id: 6118d92b47 (このIDを非表示/違反報告)
シヴァ - どの作品もすごくよかったです! 精神回復しましたww (2016年10月19日 23時) (レス) id: fd37f4a3ac (このIDを非表示/違反報告)
オムちゃん(プロフ) - 夜月さん» やいやもうすごく良かったです!! 許すも何も最高でしたよ(*Ü*) ありがとうございました!! (2016年10月10日 5時) (レス) id: 87fbbdacd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜月 | 作者ホームページ:http://plas-yuno08.jimdo.com
作成日時:2015年11月8日 3時