Pink ▽ これでもオトコなので ページ21
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『幼なじみ』って、恋愛において最大の難関だと思う。
なぜか素直になれないし、告白して関係が変わるのが怖い。
そんなわけで、長い間拗らせた想いがこの胸から外に出たことはなかった。
なかった、のだ。昨日までは。
「ちょ、トド松っ」
「ねえ、ちゃんと答えてよ」
A、僕のこと好きでしょ。
...どうしてこうなった。
今日は、久しぶりに松野家に来て。
家にお目当ての人はいなくて、松代さんがパートに出るとき留守番を頼まれた。
一人居間でスマホを触ってたら、トド松が帰ってきて。
ちょっとドキっとしたけど、平静を装って「おかえり」なんて言って。
なんで私がいるのか説明して、お昼時だったからご飯を作ろうと腰を上げたら。
...脈絡なく押し倒された。
え、と思う暇もなく両手を頭の上で拘束された。
心臓をドキドキ、というかバクバクさせていると、あの言葉。
...なんでこうなったの。誰か教えて。
「あ、あの、とどまつ、さん?」
「もう、なに?早く答えてって」
「...いつから気づいてらっしゃったんですか...」
「...えっ」
なんで。いつから。
そればかりが思考を巡って、質問に質問を返してしまった。
...え、これって肯定になっちゃう?
「ご、ごめんやっぱ今のなし...!」
「...なしになんて、できないに決まってるじゃん...!」
「えっ、」
「もう、Aのくせに!なんでそんな可愛いのっ」
目の前にあるトド松の顔が赤く染まる。
なにそれ、なにそれ。
「トド松、顔真っ赤...」
「うるさいよ!Aのほうが赤いじゃん!」
「え、うそ、」
「ほんと。...ね、ぎゅーってしてもいい?」
だめって言ってもするけどね。
トド松は私の手を離して、隣に寝転んだ。
それから、両手を広げて、「おいで?」と私に微笑む。
拒む理由もなくて、素直にその腕の中に飛び込んだ。
「...好きだよ、A」
「...ばか、遅いよ...あと私の方が好き...」
「はいはい。...あー、幸せだあ...」
ずっとこのままでいたい、時が止まればいいのに。
そんな少女漫画みたいなことを考える。
ふと思い立って、トド松の背に回した腕に力を入れた。
それから、その頬に軽く触れるだけのキスをする。
「...へ、っ?」
「えへへ、...奪っちゃった、なんて」
「...っ!」
ことさら赤くなった顔が、むっと歪む。
...その唇が私のそれに触れるまで、あと数秒。
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Green ▼ 愛おしいのはあなただけ→←Purple ▼ ちゅーどくかんじゃ
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のんのーー(プロフ) - この作品……すごく好きです!あの、「可笑しいくらい君が好き」って嵐さんのキャラメル・ソングですか? (2017年12月19日 20時) (レス) id: c41abcf11d (このIDを非表示/違反報告)
凜松 - こんにちは〜♪凜松です このお話し大好き (2017年2月15日 11時) (レス) id: 2a608cd23b (このIDを非表示/違反報告)
聖奈 - 文才分けて欲しいです‥‥すごすぎます・:*+.\(( °ω° ))/.:+ (2017年1月9日 23時) (レス) id: 6118d92b47 (このIDを非表示/違反報告)
シヴァ - どの作品もすごくよかったです! 精神回復しましたww (2016年10月19日 23時) (レス) id: fd37f4a3ac (このIDを非表示/違反報告)
オムちゃん(プロフ) - 夜月さん» やいやもうすごく良かったです!! 許すも何も最高でしたよ(*Ü*) ありがとうございました!! (2016年10月10日 5時) (レス) id: 87fbbdacd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜月 | 作者ホームページ:http://plas-yuno08.jimdo.com
作成日時:2015年11月8日 3時