Blue ▽ ゆらゆら揺れる恋みたいな ページ19
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「イルカかわいかったね〜!濡れちゃった!」
「ああ、実にキュートだったな...まあ、俺のマイハニーには敵わないが」
「いや、所有格被ってるから。俺のかマイかどっちかにしなよ」
今日は彼氏のカラ松と水族館デート。
午後のイルカショーが終わり、そろそろお土産物屋でも行って帰ろうか、と言おうとすると、
「あ、...最後に一ヶ所だけ、いいか?」
「え?うん、いいけど...」
いつもより真剣な目をしたカラ松に手を引かれる。
...正直、ちょっとドキドキした。
・
「...ここだ」
「わっ...クラゲ?」
「ああ。どうしてもAと二人で見たかったんだ」
愛おしげに見つめられて、反射的に目を逸らす。
何その、キラキラした目。視線、熱い。
でもそれ以上は何も言う気がなさそうだったので、とりあえずゆっくりクラゲを鑑賞する。
水槽の中で悠々と泳ぐ数匹のクラゲは、目立たないけどすごく綺麗だった。
「...きれい」
「...ああ、そうだな。まるでマイハニーのごとく美しく、」
「あ、今そういうのいいから」
「...えっ」
そんなやり取りをしていて、ふと、気づいた。
他の人の声が全くしない。
今までは薄暗くて気づかなかったけど、この部屋にいるのは遠目に見える数人だけ。
それを意識すると、心臓が急激に鼓動を速くした。
「?どうしたんだ、A」
「う、ううん。なんでもない」
「そうか、それならいいんだが......なあ、もう少しそっちに寄ってもいいか?」
「...うん、いいよ」
なんでかまた真剣みを帯びた声色は、私をドキリとさせる。
もう、クラゲなんて目に入ってこなかった。
「A、」
耳元で囁かれる。
やめてよ、あんた無駄にいい声してるんだから。
...と、不意に顔を覗きこまれて。
それから、...カラ松の唇が、私のそれに優しく、柔らかく触れる。
一瞬でその温もりは離れていったけれど、私の唇から熱が引くことはなかった。
「...っな、...!」
「...たまには、こういうのもいいだろ?」
そう言うと、普段は絶対に見せない、いたずらっ子のような表情で笑う。
ああもう。悔しい。かっこいい。
「......ばか、好き」
「はは、知ってる。俺も好きだぞ、A」
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Purple ▼ ちゅーどくかんじゃ→←Pink ▼ 冬の日の温もり
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のんのーー(プロフ) - この作品……すごく好きです!あの、「可笑しいくらい君が好き」って嵐さんのキャラメル・ソングですか? (2017年12月19日 20時) (レス) id: c41abcf11d (このIDを非表示/違反報告)
凜松 - こんにちは〜♪凜松です このお話し大好き (2017年2月15日 11時) (レス) id: 2a608cd23b (このIDを非表示/違反報告)
聖奈 - 文才分けて欲しいです‥‥すごすぎます・:*+.\(( °ω° ))/.:+ (2017年1月9日 23時) (レス) id: 6118d92b47 (このIDを非表示/違反報告)
シヴァ - どの作品もすごくよかったです! 精神回復しましたww (2016年10月19日 23時) (レス) id: fd37f4a3ac (このIDを非表示/違反報告)
オムちゃん(プロフ) - 夜月さん» やいやもうすごく良かったです!! 許すも何も最高でしたよ(*Ü*) ありがとうございました!! (2016年10月10日 5時) (レス) id: 87fbbdacd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜月 | 作者ホームページ:http://plas-yuno08.jimdo.com
作成日時:2015年11月8日 3時