【おそ松さん】松野さんと、恋模様。【短編集】

Green ▽ こっち向いて ページ1

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見慣れた商店街を、チョロ松くんは早足で歩いていく。
いつもなら、歩調を合わせてくれるのに。
早歩きでも着いていくのがやっとだから、私はほぼ走ってる状態。



「チョロ松くん...こっち向いてよ、」
「......」
「まださっきのこと怒ってるの？」
「...別に、怒ってなんか、ないけど、」



うそ、絶対怒ってるよね。

今日はデートの約束だったから、チョロ松くんの家に向かった。
六男のトド松くんが出迎えてくれて。
...そこまでは良かったんだけど、
何故かトド松くんに壁ドンされて、それをチョロ松くんに見られて、
...強い力で腕を引かれ、松野家を飛び出してきた、という次第で。



「チョロ松くんってば......私のこと、嫌いになった？」
「...そんなわけっ、」
「じゃあこっち向いてよ...」



見なくても分かる。今チョロ松くん、歯を食いしばった。
ねえ、なんでこっち向いてくれないの？
寂しいよ。



「チョロ松くん...」



何をしたら、私の方を向いてくれる？
どうしたら＿＿...



「......チョロ松、」
「っ？！」
「...あ。やっと、顔見れた」



こっちを向いたチョロ松くんの顔は、真っ赤になっていて。
...名前、呼び捨てにするの初めて。
そう思ったら嬉しくなって、ふふ、と笑う。



「い、今、Aちゃん、チョロ松って...！」
「うん。言ったよ、チョロ松」



私が名前を口にするたび、チョロ松くんの顔は赤みを増す。



「〜〜〜っあー、もう！Aちゃん、ほんとにずるいよね...っ」
「へへ、チョロ松くんは名前の通りちょろいよね」
「それは言わないでよ...」



だって、ほら、もういつも通り。



「...ごめんね。トド松に嫉妬した。僕もしたことないのにって」
「...どうぞ？」
「っ......いきなりはハードル高いです...！」



ぎゅう、ときつく抱きしめられる。
...私、トド松くんに壁ドンされるより、チョロ松くんに抱きしめられるほうが好きだよ。
そう言ったら、「そうじゃないと困るよ、僕の彼女なんだから！」と返ってきて、また笑みが込み上げた。



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