貴方の傍で。２【手下】 (ページ31)

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７０話ページ31

月を、見る。
鴉は月が好きなのかな。

本当は、こうやって喋っているだけで辛い。
だけど、そんなに顔を赤くして言われたら期待してしまう。

A「…あぁ、もちろん」

作り笑顔を貼り付けて、返事をする。

マ「よかった！
じゃあ、楽しみにしているよ！」

嬉しそうに部屋から出て行ったマルフィ。
その笑顔が好きなんだ。

ドアの前で立ち尽くしていると、エイトフットが通りかかった。

エ「あー…その

さっきは…急に悪かったな
お前の気持ちも、分かってるつもりではいるけど…

やっぱり、諦めきれねぇ」

A「…え」

エ「…振り向かせて見せっから、覚悟しとけよチビ」

そう言うと、１階に降りていったエイトフット。

よく分からないけど…うん、取り敢えずお風呂だ。

ー風呂場ー

A「はぁ…あったか」

ヴ「そうですわね…ようやく一息つけますわ！」

…何故ヴェールさんがいるかと言うと…

ヴ『あら、Aさん！

今からお風呂ですかしら？
私もご一緒させてくださいませ！

あの相談も兼ねて…ですわ！』

A『もちろんです！
どうぞ！』

ってわけです。

ヴ「Aさん、髪の毛とってもお綺麗ですわね！
ヴィランズサスーンをお使いになられてるの？」

A「そうです！
ヴェールさんもでしょう？」

ヴ「えぇ！
ヴィランズサスーン、サラサラツヤツヤになるので愛用してますの！」

A「やっぱり！そうですよね！」

ヴ「便利ですものね！

それで、ですわ。」

ヴィランズサスーンの話で盛り上がっていたのに、ヴェールさんが急に真面目な顔になったため緊張が走る。

A「は、はい…」

ヴ「マルフィさんと、その後どうですの！？」

A「えっと…明日、月を見ようって誘われました…」

それは、きっと恋のお悩みの相談であって…

…そういえば、本来なら僕が相談してもらう側なんだ。
あぁ、「貴方のお悩みなんでしょう？」なーんて言っている割に全く解決できていない。

ヴ「まぁ！とっても素敵ですわ！
頑張ってくださいまし！」

A「…でもヴェールさん、マルフィって他に好きな人がいるんでしょう？」

ヴ「あら…どうしてそう思いますの？」

A「だって…マルフィ、ヴェールさんに相談していたじゃないですか。」

ヴ「あぁ…ふふ、Aさんって本当に面白い方ですわ！」

くすくす笑い出すヴェールさん。