33 うらたside ページ34
学校に響くあの女の叫び声
その後ろから唸るような声をあげる
俺の好きな人
あの女をAが刺したとかなんだとか
俺は信じなかった
だって、いっつもそうだったから。
あの時はセンラに負けた
今と同じような状況に置かれたAを
俺は見ているだけだった
でも今は違う
センラの記憶がない今は
俺はAを守るって決めたんだ
だから、助けるよA
Aが走っていく方へ自分も足を走らせる
センラは追ってこない
それがまた俺を狂わせる
来なくていいはずなのに、
追いかけてきてほしくないはずなのに、
あいつと正々堂々と張り合えないのが
さらに俺を狂わせる
記憶がないだとか
そんなのはどうだっていい。
センラの気持ちがその程度だったと思うと
無性に腹が立つ
それでも俺は走る足を止めない
届きそうで届かない彼女の背中
そんな時目の前で嫌な景色が見える
大型のトラック。
しかも大型トラックは急ブレーキをかけ
キーーという耳鳴りのする音を
街中に響かせる
それとともに止まりきれなかったトラックは
ドンッ!!!という鈍いを音を出して
反対車線に突っ込み止まった
そのドンッ!!!とぶつかった物は…
いや、人は
俺が守ると
助けると決めた
世界で一番大好きな人
俺はすぐに我に返り
心臓がはちきれそうなのを我慢して
彼女に近づき大声で
「Aッ!!!!!!
しっかりしろよ!!!!!」
と叫んだ
周りの目なんて気にせずに
彼女の体からは大量の血
彼女の息はもうしてない寸前の状態だった
俺の目からは大粒の雨が降る
その雨はどんどんコンクリートを黒く染める
少ししてからパトカーや救急車の音が聞こえ
周りにいた人も野次馬のように
わんさか集まり出した
俺は気にせずに
彼女の名前を呼び続ける
*
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作者名:はるや x他1人 | 作成日時:2017年7月31日 19時