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気まずい空気のまま図書室を出て、並んで廊下を歩く。
今までで一番気まずいんじゃないかってぐらい重苦しい空気に息までしづらくなる。
叶先輩はなんでさっき私を抱きしめてきたんだろう。
いまだに先輩の匂いと温もりが残ってる感じがして心臓がうるさい。
すごくドキドキしたし驚いたけどもちろん嫌ではなかった。
のに、あの後から先輩は私の方をあまり見てくれなくなった。
私が緊張してあんな態度をとったから嫌になったのかな？
彼女なんだから抱きしめ返していればこんな空気にもなっていなかったのかもしれない...
考えれば考えるほど分からなくなって、頭の中が真っ白になって自分に嫌気がさした。
「...雨だ」
隣からの声でいつのまにか校舎の外にいることに気付く。
無意識に空を見上げるとパラパラと小雨が黒い空から降り注いでいた。
そう言えば今日は雨だと予報で言っていたし、先輩がバスで来てと言っていたから自転車ではなくバスで来たんだった。
「天気予報当たりましたね、」
「だね、昼間は降ってなかったのにね。あたった。」
やっと会話が出来たことが嬉しくて先輩の方を見ると、私を一瞬視界に入れたのにまた目をそらしてわざとらしく空を見上げた。
…やっぱりさっきから避けられてる。
「傘持って来て良かった、...まあ置き傘してたんだけど」
隣で傘を開いて先を歩こうとする叶先輩の背中を見るとすごく悲しくなって、近くにいるのにぎこちない空気がたまらなく嫌になって。
何を思ったのか私は傘もささずに小走りで先輩の背中を追いかけて、先輩の隣に寄り添うように並んだ。
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作者名：四面楚歌 | 作成日時：2023年1月15日 13時
