10回、目が合ったら告白します。【kne】② (ページ13)

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中に入ればテスト三日前ということもあり、いつもより沢山の生徒が図書室を利用していた。

読書をする人達よりは教材を広げてペンを握って、難しい顔のままノートに視線を落としている人が多い気がした。

そんな私はといえばテスト勉強にはほぼ手をつけてないから(全部叶先輩のせい！)そろそろ焦りみたいなのが押し寄せてきていた。

あ、そうだ、私も今日はここでテスト勉強をしよう。

図書委員の仕事も少ないことだし別に構わないよね？

とりあえず家では絶対に避けて手をつけないであろう数学から手をつけようと教科書を開き、横一列に連なる数式と睨めっこをしていたら隣の椅子がガタンと音を立てた。

横を見ると先輩が座ってきて、目を大きくして私の教科書を見ていた。

“数学嫌いだ〜"とロパクで伝えてきたから、先輩と嫌いな教科が同じってことが嬉しくて、私も首を縦にブンブン振った。

その後も何をするわけでもなく叶先輩は私のノートを見てくるから全然集中出来なくて。

先輩の方を見るとおもむろに私のノートに手を伸ばして余白に何かを書き始めるからびっくりした。

［やっぱり字可愛い］

それだけのことなのに嬉しくてどきっとする。